セキュリティは無駄なのでイノベーションに極振りしたいと思います。:事例で学ぶ製造業DXセキュリティ対策入門(6)(1/5 ページ)
社内DXセキュリティプロジェクトチームのリーダーに任命された、ABC化学薬品新卒6年目の青井葵。元工場長の変わり者、古井課長の手助けも得て、製造業がDXプロジェクトと併せて進めるべき「DXセキュリティ対策」を推進していく本連載。今回は、ABC化学薬品の傘下に加わったスタートアップが開発中のスマートドローンのセキュリティ対策について考える。
国内製造業で進む、AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)、クラウドなどを活用した「DXプロジェクト」。分かりやすい価値を生み出すDXに対して、取り組みが遅れがちなのがセキュリティ対策です。
そこで本連載では、国内中堅化学薬品メーカーのABC化学薬品に勤める新卒6年目の青井葵を主人公に、製造業がDXプロジェクトと併せて進めるべき「DXセキュリティ対策」について解説します。
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本連載の登場人物
青井葵(あおいあおい):ABC化学薬品のセキュリティ問合せ担当から会社全体のDXセキュリティのプロジェクトに大抜てきされた。新卒6年目。人当たりがよく、元気印の愛されキャラ。趣味は旅行、ラノベ・アニメ鑑賞。
古井静三(ふるいせいぞう):ABC化学薬品のセキュリティ担当課長、元工場長で現社長の黒川とは盟友関係。工場長時代に大病を患い2年ほど職場を離れたあと、趣味のPCの知識を生かして、数年前にセキュリティ部門の担当課長として職場復帰。いつもひょうひょうとしていてつかみづらい変わり者。趣味は無線、PC自作、釣り。
黒川洋(くろかわひろし):ABC化学薬品の社長、老舗の中堅化学メーカーにしては珍しい50代社長。いつも柔和な笑みをたたえていて穏やかな風貌だが、前社長が高く評価した切れ者の一面もある。趣味はジャズ、クラッシック鑑賞、ゴルフ。
井之辺紫音(いのべしおん):ABC化学薬品の子会社であるABCアグリ開発部のリーダー。現在、ドローンを用いたIoT農薬散布機の開発に取り組んでいる。仕事が早く優秀だが、気分屋で他人への要求が高いため、周囲からは難しい人物としてみられている。趣味は、カメラ、ミニ四駆、SF鑑賞
※)編集部注:本記事はフィクションです。実在の人物、団体などとは一切関係ありません。
子会社なのに本社と文化が違い過ぎる件
今日はABCアグリの開発リーダーの井之辺さんとのキックオフ打ち合わせなのだけど、工場とはまた全然違う分野なので不安しかない。
はじめまして。ABC化学薬品の全社DXセキュリティプロジェクトのリーダーを務めています青井葵と申します。
はじめまして。ABCアグリ開発部のリーダーの井之辺紫音(いのべしおん)です。本日はわざわざおいでいただきありがとうございます。
ABCアグリの会議室は、想像とは全然違い、洗練されたコワーキングスペースのようで、イマドキって感じ。井之辺さんもジャケットは着てるけどノーネクタイだし。もともと学生ベンチャー発のスタートアップだけあって、みんな若いなぁ。
おしゃれなオフィスと会議室ですね。うらやましいです。
そうですね、開発の仕事はストレスが多いので、なるべく快適な環境が良い成果につながると考えています。
あと、皆さんTシャツとかジーンズとか、自由な服装されていて、スーツか作業着が基本のうちの会社とは大違いです。
別にスーツや作業着が悪いとは思わないですけど、そういう制約って何か意味あるのですかね。仕事に役立つどころか害にしかならないと思うのですが。
まあ、そういう考え方もあるのだろうけど、規律を重んじるうちの管理職が聞いたら怒るだろうなぁ。
まあ、私はどちらかというとスーツって決めてもらった方が、毎朝考えなくて済むので、そっちの方が楽ですかね。
へー、全然分からないですけど。そんなもんなのですね。
おーおー、なんか上からだなぁ。まあ、向こうから見れば、こちらは化石みたいに感じるのだろうけど。
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