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たとえば中堅製造業のDXセキュリティ担当がいきなり社長にプレゼンするような物語事例で学ぶ製造業DXセキュリティ対策入門(5)(1/4 ページ)

社内DXセキュリティプロジェクトチームのリーダーに任命された、ABC化学薬品新卒6年目の青井葵。元工場長の変わり者、古井課長の手助けも得て、製造業がDXプロジェクトと併せて進めるべき「DXセキュリティ対策」を推進していく本連載。今回は、製造業のDXセキュリティ対策の予算獲得で最大の壁になるであろう役員会の承認を得るためのプレゼンについて考える。

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 国内製造業で進む、AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)、クラウドなどを活用した「DXプロジェクト」。分かりやすい価値を生み出すDXに対して、取り組みが遅れがちなのがセキュリティ対策です。

 そこで本連載では、国内中堅化学薬品メーカーのABC化学薬品に勤める新卒6年目の青井葵を主人公に、製造業がDXプロジェクトと併せて進めるべき「DXセキュリティ対策」について解説します。

⇒連載「事例で学ぶ製造業DXセキュリティ対策入門」バックナンバー

本連載の登場人物

青井葵(あおいあおい):ABC化学薬品のセキュリティ問合せ担当から会社全体のDXセキュリティのプロジェクトに大抜てきされた。新卒6年目。人当たりがよく、元気印の愛されキャラ。趣味は旅行、ラノベ・アニメ鑑賞。


古井静三(ふるいせいぞう):ABC化学薬品のセキュリティ担当課長、元工場長で現社長の黒川とは盟友関係。工場長時代に大病を患い2年ほど職場を離れたあと、趣味のPCの知識を生かして、数年前にセキュリティ部門の担当課長として職場復帰。いつもひょうひょうとしていてつかみづらい変わり者。趣味は無線、PC自作、釣り。


黒川洋(くろかわひろし):ABC化学薬品の社長、老舗の中堅化学メーカーにしては珍しい50代社長。いつも柔和な笑みをたたえていて穏やかな風貌だが、前社長が高く評価した切れ者の一面もある。趣味はジャズ、クラッシック鑑賞、ゴルフ。


※)編集部注:本記事はフィクションです。実在の人物、団体などとは一切関係ありません。

工場DXセキュリティ対策の概要と方向性がまとまった、次は……

古井課長
今回私は出番なし

プロジェクト開始から半年、紆余曲折あったものの、工場DXセキュリティ対策の概要と方向性がまとまり、私はプロジェクトリーダーとして、役員会での説明の大役を任されていた。古井課長の計らいで、社長に事前レビューの時間を取ってもらうことになった。果たしてどんな指摘が入るのか不安だなぁ。

本日は、工場DXセキュリティ対策の役員説明会の事前レビューに、貴重なお時間を頂きありがとうございます。


いえいえ、もともと私が青井さんにプロジェクトリーダーをむちゃ振りしたことですし、古井さんからも、ぜひよろしくといわれているのでね。


 いつもの通りのにこやかな笑顔だけど、むちゃ振りした自覚はあるのね…。それにしても社長室で、社長と二人だけだと緊張するなぁ。古井課長は、事前レビューだから、たくさん失敗してこいとか言って、ついてこないし。

では、早速、お手元の資料に沿って、全体の流れを説明させていただきます。


はい、よろしくお願いします。


まず、本プロジェクト実施の背景として、わが社の工場DX実施によって、どのようなセキュリティ脅威があるのかを、海外のセキュリティ事故を例にとって説明します。


ふむふむ。


次に、わが社のセキュリティ対策の現状について調査した結果を報告します。


なるほど、対策を「組織」「運用」「技術」に分けて分析していますが、これは一般的な手法なのですか?


はい、制御系のセキュリティで標準となっている国際的なガイドラインの考え方に基づく分類です。


なるほど、とても分かりやすいですね。


 げに、国際的なガイドラインの力は絶大なり。「青井さんが考えました」よりも、説得力あるよね。

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