設計変更でエラーが起きにくいモデリング方法とは?:テルえもんの3Dモノづくり相談所(5)(2/3 ページ)
連載「テルえもんの3Dモノづくり相談所」では、3Dモノづくりを実践する上で直面する“よくある課題”にフォーカスし、その解決策や必要な考え方などについて、筆者の経験や知見を基に詳しく解説する。第5回のテーマは「設計変更でエラーが起きにくいモデリング方法」だ。
(1)基準要素を使用する
部品のキーとなる点や軸、平面といった部分は、基準要素を利用し親要素として形状変更のない状態を確立します。例えば、原点やX軸、Y軸、Z軸、XY平面、YZ平面、XZ平面などの基準点、基準軸、基準平面です。
図3のように形状A、B、Cを作る際、まず平面から形状Aを作って、その形状Aの面にスケッチを描いて形状Bを作り、形状Bの面にスケッチを描いて形状Cを作った場合に、形状Bを削除してしまったり、形状Bで修正エラーが発生してしまったりすると、形状Cに影響が出てしまいます。なぜなら、形状Cは形状Bの面に描いたスケッチを基にしており、リンクしている(参照関係がある)からです。
では、形状Bの削除やエラーに起因する形状Cへの影響(連鎖反応)はどのように防ぐことができるでしょうか。その対処法について解説します。
まず、平面A、B、Cを作ります。そして、形状Aは平面Aを押し出して作り、形状Bは平面Aにスケッチを描き、平面Bまで押し出し、形状Cは平面Bにスケッチを描き、平面Cまで押し出します。すると、仮に形状Bが削除されたり、エラーが起きたりしても、形状Cは形状Bとはリンクしていない(参照関係性がない)ため、エラーの連鎖反応が起こりません。
このようにモデル形状の要素ではない、平面や軸、点などを基準要素として利用することで、設計変更によるエラーを少なくできます。
(2)関係を付ける要素は、点よりも線、線よりも面を利用する
関係を付ける場合には、選択する要素は“点よりも線、線よりも面”を利用するとエラーが起きにくくなります。なぜなら、点や線はフィレットや面取りなどが追加されると消えてしまうため、参照できなくなる可能性が高いからです。
そのため、フィレットや面取りなどは、作業の最後の方に行うことが望ましいといえます。また、フィレットや面取りをする前に、アセンブリなどを行う場合には注意が必要で、アセンブリをする際に角のエッジ(線)を選択していると、形状にフィレットが入って要素がなくなるとアセンブリにエラーが生じます。
図面作製では、点よりも線を選択しましょう。アセンブリをする際は形状の面ではなく、基準軸や基準平面、座標軸などを作成して、そこを基点に組み付けることで設計変更によるエラーを回避する方法もあります。
(3)ボディを分けて作成する
エラーが出る可能性があるものとして、“設計変更が入りやすい箇所”が挙げられます。設計変更により大きさや位置、形状が変わることで参照要素がなくなってしまう可能性があります。できるだけ設計変更が入りやすい形状との参照関係は避けるべきです。もし、どうしても参照関係を付けたい場合は、できるだけ最後の方に付けた方がエラーの連動が少なくてすみます。
始めは、別々のボディで形状を作成しておき、最後の方でブーリアン演算として「和(結合)」や「差(切り取り)」を行うことで、履歴が芋づる式になるのを回避できます。
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