第4のコンピューティング時代に求められるのは先端ロジック・メモリチップだけではない:アプライド マテリアルズ ブログ(2/3 ページ)
米国の大手半導体製造装置メーカーであるアプライド マテリアルズ(Applied Materials)のブログの抄訳を紹介する本連載。今回は、同社のMaster Classイベントで発表されたヘテロジニアスデザインと先進のパッケージング技術についてさらに掘り下げる。
テクノロジーソリューションを垂直市場へ
アプライド マテリアルズはICAPSと先進的パッケージングを同じビジネスユニットにまとめているが、これも一見すると不可解かもしれない。しかし考えてみると、ICAPSの最終市場(ハイパフォーマンスコンピューティング、無線通信、自動車、配電、デジタルイメージングなど)は市場としても、マテリアルズエンジニアリングの観点からも独自性と専門性が強い。アプライド マテリアルズのICAPS・パッケージングチームは、顧客固有のロードマップ課題を理解できるデバイス専門家をメンバーに加えている。彼らはアプライド マテリアルズの広範なマテリアルズエンジニアリング技術の垣根を越え、協調最適化やインテグレーテッドソリューションズなども活用して、垂直市場にブレークスルーをもたらすことができる。
IMSをCISに活用
Mike ChudzikがMaster Classの中で、協調最適化とインテグレーテッドマテリアルズ ソリューション(IMS)を用いてCMOSイメージセンサー(CIS)を改良する例を紹介している(図2)。アプライド マテリアルズのCISエンジニアリング専門チームが設計したインテグレーテッド プラットフォーム ソリューションは、現在顧客の現場で適格性評価の段階にあり、次世代デジタルカメラの解像度、受光感度、ダイナミックレンジなどの改良に使われる予定だ。
図2 CMOSイメージセンサーでは、マテリアルズ エンジニアリングを活用して隣接する光ダイオードとの電気的・光学的クロストークを最小化することで、光信号の改善とピクセルの向上を同時に実現している[クリックで拡大]
パワーデバイスのマテリアルズエンジニアリング
シリコンカーバイド(SiC)は、現在最も先進的な電気自動車(EV)のパワーデバイスとしてかつてないトルクと航続距離をもたらす、いわばスーパーヒーロー的な存在だ。このSiCチップの生産を150mmウエハーから200mmウエハーに移行すれば、コストダウンと生産増が見込まれ、市場拡大に寄与する。問題は、SiCがシリコンより硬いものの、結晶格子がダメージを受けやすく、デバイス性能の劣化、電力の浪費、熱の発生などが生じることだ。
そこで当社ICAPSチームのデバイスエキスパートは装置ビジネス部門と協力し、大手半導体メーカーのニーズに最適化された独自のシステムを生み出した。先日発表した新しいCMP装置はSiCに最適化され、未処理のシリコンウエハーを完璧に平坦化して無欠陥のエピ層を形成することができる。さらに当社は「ホットインプラント」技術も発表した。これはSiC結晶中にイオンを正確に注入・拡散しつつ、格子の完全性を保持するものだ(図3)。
図3 SiCに最適化されたアプライド マテリアルズのMirra Durum CMP(左)と、ホットイオンインプラント装置VIISta 900 3D(右)。SiCチップ業界が大口径の200mmウエハーに移行しやすくなるよう設計されている[クリックで拡大]
アプライド マテリアルズの広範な技術を特定のICAPSデバイスと市場に生かす活動を2つ見てきたが、こうしたプログラムは他にも数十件ある。
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