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半導体不足の遠因となった、旭化成の半導体工場火災で起こったこと工場ニュース(3/4 ページ)

旭化成は2021年9月14日、2020年10月に起きた宮崎県延岡市の旭化成エレクトロニクス 半導体製造工場の火災について事故調査報告書をまとめたと発表した。建屋棟の損傷が激しく火災原因の特定には至らなかったが、発火場所の推定と、再発防止策などの調査結果を公開している。

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可燃物の配置とクリーンルーム内の気流が延焼の要因

 さらに、推定発災装置「SF6-3」からどのように火災拡大に至ったのかという延焼原因についても調査した。災害用ドローンなどでの装置付近の現場確認やFAB棟4階クリーンルームに存在する可燃物重量および気流影響から延焼原因を推定した。

 出火確認時から20分後の17時頃には防火区画Aゾーンが全て検出限界だった40℃以上に達していることから、同ゾーンにおいて急激に火勢が増したと想定される。4階クリーンルーム1ベイ付近のドローン調査から、クリーンルーム気流制御用のパーテーションが原形を留めていないほど焼失しており、クリーンルーム上部に取り付けられているFFU(Fan Filter Unit)およびHEPA(High Efficiency Particulate Air)フィルターがグレーチング床面に脱落している。

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1ベイメンテナンスエリアの推定発災装置付近被害状況[クリックで拡大] 出所:旭化成

 調査の結果、パーテーションやHEPAフィルター、洗浄機およびIPA薬液などの可燃物がクリーンルーム内に存在し、これらは基本的には難燃性を持つものの、熱源が近くに存在する場合は燃焼するため、これらが延焼の要因となったことが推定された。

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FAB棟4階クリーンルームの焼損状況と可燃物設置場所[クリックで拡大] 出所:旭化成

 また短時間で温度が上昇した要因として、クリーンルーム内の気流循環が推定要因として挙げられる。1時間当たりのクリーンルーム内の空気循環回数は、約56回で、1時間あたりの外気入れ替わり回数は、約4回である。FAB棟4階クリーンルームで採用されている全面ダウンフロー方式や、パーテーションで気流を制御するようなスルーザウォール方式のようなクリーン化方式では、火災などが発生した場合に熱風が短時間で循環し、逃げにくい密閉空間となりやすい。その結果、防火区画内で温度上昇が急速に発生し、IPAへの引火や、HEPAフィルターおよびパーテーションへの延焼を引き起こしたと考えられる。

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クリーンルーム内の気流循環の模式図[クリックで拡大] 出所:旭化成

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