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日本の製造業の現状とその打開策【前編】アイデアを「製品化」する方法、ズバリ教えます!(11)(1/4 ページ)

自分のアイデアを具現化し、それを製品として世に送り出すために必要なことは何か。素晴らしいアイデアや技術力だけではなし得ない、「製品化」を実現するための知識やスキル、視点について詳しく解説する連載。第11回は「日本の製造業の現状とその打開策」の【前編】として、設計メーカーと組み立てメーカーにフォーカスした内容をお届けする。

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 今回を入れて、残り2回で本連載も終了となる。最後の2回は「日本の製造業の現状とその打開策」に関してお伝えする。“打開”という言葉を使っているのは、“現在がよくない状況にある”ということを意味しているからだ。

 製造業には主に3つのメーカーがある。設計を行う「設計メーカー」、部品を製造する「部品メーカー」、製品を組み立てる「組み立てメーカー」である。その他にも「原材料メーカー」や「金型メーカー」などもあるが、これらは先に挙げた“3つの製造業”にひも付いているといえる。

 今回は、日本の製造業の現状とその打開策の【前編】として、設計メーカーと組み立てメーカーにフォーカスしてお届けする。

⇒「連載バックナンバー」はこちら

8割で次のステップに進む中国のモノづくり

 最近、技術関連のメディアでは「5G」「IoT(モノのインターネット)」「EV(電気自動車)」「自動運転」「AI(人工知能)」「ロボット」といった用語が多く登場する。この中で、日本が明らかに他国から先行しているものは何であろうか。これら先端技術について、中国での実用化に向けた取り組みがニュースとして多く報じられているが、筆者はこれを驚異と感じてしまう。

 中国は開発設計のフローにおいて、各ステップの進行がとても早い。その理由は、開発設計フローの各ステップにおいて、8割程度の完成度で次のステップに進むからである。“8割程度の完成度”といっても、2割の欠陥を残したまま次のステップに進むということではなく、検証項目の数が日本と比較して8割程度であるということだ。

 中国における開発設計は、製品の機能に重点が置かれ、安全性や信頼性といった品質に対する取り組みは、日本ほど重視されずに進められていると感じる。これは、これまで筆者が多くの中国のODM(開発委託)メーカーや部品メーカーと接してきた経験から得た実感だ。

 残りの2割の部分で品質問題が見つかれば、それが判明した時点で対処すればよいという考えである。最悪の場合、市場で問題が発生するかもしれないが、少しでも早く市場に製品を出し、問題点を顧客から広く収集することによって、早く効率良く製品の改善をしていくという手法だ。

 中国の上汽通用五菱汽車が2020年8月に発売した「宏光MINI EV」はその典型例だ。トヨタ自動車は、同タイプの「Cpod(シーポッド)」の一般販売を2022年をめどに開始する(※注1)としているが、ほとんどのスペックで宏光MINI EVの方が上回っている。品質面の差は分からないが、中国の製品化が早いことは確かである。

※注1:Cpodは2020年12月25日、EV普及に向けて検討を進めてきた法人ユーザーや自治体などを対象に限定販売を開始している。

上汽通用五菱汽車の「宏光MINI EV」(左)と、同タイプのトヨタ自動車の「C+pod」(右)
図1 上汽通用五菱汽車の「宏光MINI EV」(左)と、同タイプのトヨタ自動車の「Cpod」(右)[クリックで拡大] 出所:上汽通用五菱汽車/トヨタ自動車のWebサイトの画像を基に作成

日本はモノづくり立国

 日本が「モノづくり立国」であるのはご存じの通りだ。図2からも確認できるが、日本の貿易輸出の74%が装置などの製品である。これに、接着剤などの化学製品を加えると何と85%が製品の輸出である。

 日本は石油などの原料に乏しい国である上、サービス輸出は他国と比較して少ない。つまり、日本は製品の輸出に大きく頼っている国なのだ。しかし、その製品の中には、工作機械や半導体製造装置などのように日本が世界で秀でている高性能の製品も多くあるが、家電製品のように中国に押され気味の製品も多く含まれている。

日本の品目別輸出額
図2 日本の品目別輸出額[クリックで拡大] 出所:財務省貿易統計
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