連載
製造業DX推進のコツは、経営トップと現場に精通するリーダー社員の2段階で:ものづくり白書2021を読み解く(3)(2/5 ページ)
日本のモノづくりの現状を示す「2021年版ものづくり白書」が2021年5月に公開された。本連載では3回にわたって「2021年版ものづくり白書」の内容を掘り下げる。第2回では「製造業のニューノーマル」の主軸として紹介されている「レジリエンス」「グリーン」「デジタル」という3つの視点について掘り下げる。
5年後に中核作業が機械に置き換えられる懸念
主力製品の製造に当たり、重要となる作業の5年後の見通しについては、多くの作業内容において「今まで通り熟練技能が必要」と回答した企業の割合が50%を超えている(図5)。一方で、「機械やデジタル技術に代替される」と見込んでいる企業も一定数存在しており、将来的に、中核作業が機械やデジタル施術に代替された場合には、7割以上の企業が、作業担当者に「デジタル技術を生かすための能力を身につける」ことを求めるとしている(図6)。
加えて、5年後に主力製品の製造の鍵となっている具体的な技能について、技能系正社員、技術系正社員ともにデジタル技術に関連する技能が、現在と比較してそれぞれ2倍以上の水準となっている(図7、図8)。このことから、製造業にとっても今後はあらゆる業務でデジタル技術の利活用が重要になるという認識を持っていることがうかがえる。
3年前との比較ではデジタル技術活用は向上
3年前と比較した労働生産性の変化については、デジタル技術活用企業の方が「向上した」の割合が高く、さらにデジタル技術を活用したことで「そのままの人員配置で、業務効率や成果が上がった」「全体的な労働時間が減少した」とあり、労働生産性の向上や業務効率化の実現につながっていることが分かる(図9、図10)。
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