検索
連載

1DCAEの考え方によるカップのデライトデザインデライトデザイン入門(7)(1/4 ページ)

「デライトデザイン」について解説する連載。連載第7回では、リバース1DCAE⇒1DCAEのカップのデライトデザインへの適用手順を紹介。これにのっとって構造マップの作成、機能マップの考察を実施し、これらを受けて価値を抽出して、価値からアイデアを創出する。さらに、出てきたアイデアの1つについて具現化の方法を考える。

Share
Tweet
LINE
Hatena

 前回は「1DCAE」の考え方に基づく「デライトデザイン」について紹介した。今回は、この考え方を身近な製品であるカップに適用してみたい。カップは読者の皆さんの周りにもあると思うので、ぜひ一緒に考えていただきたい。

 最初に、リバース1DCAE⇒1DCAEのカップのデライトデザインへの適用手順を紹介。これにのっとって構造マップの作成、機能マップの考察を実施し、これらを受けて価値を抽出する。次に、価値からアイデアを創出する。価値の抽出、アイデアの創出には前回紹介したアクションマトリクスチェックリストを参考にする。続いて、出てきたアイデアの1つについて、具現化の方法を考える。あるアイデアは材料によって決まるし、あるアイデアは形状によって決まるが、実際には材料と形状は無関係ではないことを最後に述べる。

⇒ 連載バックナンバーはこちら

カップのデライトデザインの手順

 図1に、1DCAEの考え方に基づくカップのデライトデザインの手順(参考文献[1])を示す。世の中にはさまざまなカップが存在する。これを参考にリバース1DCAE、すなわち構造を調べ、機能を考える。機能、構造を参考にカップの価値を考える。次に1DCAE、すなわち価値からアイデアを創出する。創出された複数のアイデアを1DCAEの考え方にのっとって原理原則で検討、場合によっては1Dモデルを用いたシミュレーションとしての“1D-CAE”により、その実現可能性を検討し、アイデアの絞り込みを行う。このようにして、従来にない新しいカップを考える。

カップのデライトデザインの手順
図1 カップのデライトデザインの手順 [クリックで拡大]

参考文献:

  • [1]福江、日本機械学会誌、120-1188(2017)

カップの構造と機能(リバース1DCAE)

 図2に示すように、世の中にはさまざまなカップが存在する。これらを参考にカップの構造をリストアップ、マップ化したのが図3である。この際、図2を参考にするとともに、実際にカップ(図3の左下の写真)を手に取って検討した。構造マップは、カップ⇒カップのサブ構造⇒サブ構造の細分化といった具合で表現される。構造マップを作成する際には、できるだけさまざまなカップを包含する形でまとめるのがよい。当然、カップによっては図3の構造マップの一部のみで構成される。

さまざまなカップ
図2 さまざまなカップ [クリックで拡大]
カップの構造マップの例
図3 カップの構造マップの例 [クリックで拡大]

 機能を考える際には、図4に示すカップの使用シーンを思い起こすとよい。もちろん、実際に手に取って使ってみることはより効果的である。このようにして機能をリストアップ、機能マップとして整理したのが図5である。図3の構造が全て機能としてリストアップできるとは限らない。この場合には、次に述べる価値の抽出の段階で構造を価値の一側面として評価することになる。

カップの使用シーン
図4 カップの使用シーン [クリックで拡大]
カップの機能マップの例
図5 カップの機能マップの例 [クリックで拡大]

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

       | 次のページへ
ページトップに戻る