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乾坤一擲の賭けに勝った観測ロケット「MOMO」、2年ぶり打ち上げ成功にみる実力宇宙開発(4/5 ページ)

ロケットベンチャーのインターステラテクノロジズは2021年7月、観測ロケット「MOMO」の打ち上げを約1年ぶりに実施した。7月3日の7号機、同月31日の6号機と2機連続での打ち上げ成功という成果は、同社にとって乾坤一擲の賭けともいえる機体の全面改良という決断によるところが大きい。

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「ZERO」につながる大きな一歩

 ISTにとって、収益の柱であるMOMOの打ち上げを止めてまで全面改良するのは、「経営的には結構厳しい判断」(同社ファウンダーの堀江貴文氏)で、乾坤一擲(けんこんいってき)ともいえる大きな賭けだった。しかし、同社はこの賭けに勝った。v1の2機が連続成功したことで、信頼性の向上を証明、今後の打ち上げ受注や資金調達には大きな追い風となるだろう。

 ただし、7号機は約99km、6号機は約92kmと、ともに速報値ではあるが、高度が100kmに届かなかったのは少し気になる点かもしれない(“MOMO”という名前には、百=100kmという意味もある)。

この飛行シーケンスの図でも、高度100kmを超えるように描かれている
この飛行シーケンスの図でも、高度100kmを超えるように描かれている(クリックで拡大) 出典:IST

 一般的に“宇宙”といわれることが多いのは高度100km以上だ。これは国際航空連盟(FAI)の定義によるのだが、米国連邦航空局(FAA)などは50マイル(約80km)以上を宇宙としており、MOMO v1と同時期に当たる2021年7月12日に初フライトを行ったヴァージン・ギャラクティック(Virgin Galactic)の民間宇宙旅行も、この米国基準を採用している。では、100kmと50マイルは、どちらが宇宙だといえるのだろうか。

 じつは、100kmでも80kmでも、物理的にはそれほど大きな違いはない。航空機が飛べるほどの空気はないし、かといって全くの真空でもない。空間のどこかに明確な境界があるわけではなく、変化は常に連続的。この数字には定義以上の意味はなく、地球と宇宙の境界はじつに曖昧だ。

 「宇宙到達といえるのか」という点に議論はあるかもしれないが、あまり実質的な意味はない。特に、今回の2機はミッション上、100kmを超える必要があったわけではないので、少なくとも打ち上げが成功であることは間違いない。

 しかし今後、例えば電離層の科学観測などで、もっと高いところまで行って欲しいというニーズが出てくる可能性はある。この点について、IST 代表取締役社長の稲川貴大氏は「すぐにできる細かな改良はいくつかある」としつつ、具体的なニーズが出てきた段階で改良計画を考えたいという意向を示した。

ドローンで撮影されたMOMO7号機の打ち上げ
ドローンで撮影されたMOMO7号機の打ち上げ。射場の様子も分かりやすい(クリックで拡大) 出典:IST

 とにかく、これでMOMOを安定して運用できるめどは立った。今までは、v1の開発にもある程度リソースを割く必要があったのだが、この成功によって、その大部分をZEROに投入、開発を加速化できる体制が整った。

 超小型衛星の打ち上げは、今後、さらなる拡大が期待されている。各国のロケットベンチャーによる競争も熾烈であり、少しでも早く市場に参入しなければならない。同社にとっても、本命はあくまでも衛星打ち上げ市場。2023年の初フライトを目指すためには、今回失敗するわけにはいかなかった。そういう意味で、v1の成功は極めて大きかった。

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