良好なコンテキストスイッチでいろいろ遊べる、イタリア発のRTOS「ChibiOS/RT」:リアルタイムOS列伝(13)(2/3 ページ)
IoT(モノのインターネット)市場が拡大する中で、エッジ側の機器制御で重要な役割を果たすことが期待されているリアルタイムOS(RTOS)について解説する本連載。第13回は、生い立ちがちょっと面白い、イタリア生まれのRTOS「ChibiOS/RT」を取り上げる。
どこまで真面目にビジネスをするつもりがあるのかというと……
公開からしばらくは、ダウンロードはSourceForge、サポートはレンタル掲示板といった感じの展開だったが、2010年には独自ドメインを取得し(図2)、ここを拠点としてドキュメントの公開とサポートを行っている。開発は割と積極的に行われており、2010年10月のWebサイト公開時点での最新版がStableでversion 2.0.8、Developmentでversion 2.1.5だったのに対して、現在はStableで21.6.0までバージョンが上がっている。
なお、ソースの公開場所はOSDNに切り替わっている。またChibiOS/RTは基本的にはオープンソース(GPLv3+Apache 2.0)であり、当然無償である。GPLベースのままで構わないという製品であれば、そのままビジネスに使うこともできる。ただし、製品化してビジネスを行うのにこれでは不向き、というニーズは当然あり、そうした目的でCommercial Free/Commercial Fullという商用ライセンスも用意されている。こちらはGPLに抵触しないコードベースでChibiOS/RTが提供される形だ。
ちなみにApache 2.0 Licenseを利用するのはHAL(Hardware Abstraction Layer)のみで、これは無償で提供されるため、別にライセンスに関係なく誰でも利用可能となっている。また商用ライセンスといっても、それを誰が提供するのかという話が当然ある。この目的のため、ChibiLogic s.r.tという会社が2011年に設立されている(図3)。商用ライセンスはこのChibiLogicが提供する格好だが、出荷数量500台以内に限って無償(ただしプレミアムサポートはなしで、ソースコードの変更も不可能)のCommercial Freeなんてライセンスがあるあたり、どこまで真面目にビジネスをするつもりがあるのかはよく分からない。価格表を見ても、この手のRTOSとしてはかなり割安な気がする。会社の拠点にしてもどう見ても集合住宅といった体裁で、単にSirio氏の自宅の可能性もある。
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