ファーウェイが進めるスマート工場化、外観検査をAIで行い労働負荷を6割削減:スマートファクトリー(1/2 ページ)
ダッソー・システムズ主催のオンライン年次カンファレンス「3DEXPERIENCE CONFERENCE JAPAN 2021」(会期:2021年6月15日〜7月9日)において、華為技術日本(ファーウェイ・ジャパン)Cloud&AI事業本部 CTOの秋元一泰氏が「画像を活用したスマート製造最前線」をテーマに、中国のファーウェイ(華為技術)におけるスマート工場化への取り組みについて講演した。
ダッソー・システムズ主催のオンライン年次カンファレンス「3DEXPERIENCE CONFERENCE JAPAN 2021」(会期:2021年6月15日〜7月9日)において、華為技術日本(ファーウェイ・ジャパン)Cloud&AI事業本部 CTOの秋元一泰氏が「画像を活用したスマート製造最前線」をテーマに、中国のファーウェイ(華為技術)におけるスマート工場化への取り組みについて講演した。
スマートフォン端末からサーバまでさまざまなIT機器を製造
ファーウェイは1987年に中国の深セン市で創業した。スマートフォンの基地局関係の技術やスマートフォン端末を展開していることが有名だが、ITインフラベンダーとしてサーバやストレージ、ネットワーク機器などのさまざまな機器の開発や製造を行っている。「全てがつながったインテリジェントな世界を実現する」というビジョンを掲げており、全世界で19万人の従業員を抱えている。その内、約半数となる9万6000人が研究開発に携わるなど、技術力主導の企業だといえる。日本法人は2005年に設立され、現在は約1000人が活動中である。ダッソー・システムズとは2017年9月に協業の検討を開始し、2018年にはHuaweiクラウドとDassauit 3DEXPRIENCEの協業ソリューションを立ち上げた。その後アライアンスパートナーシップのMoU(基本合意)を行っている。
ファーウェイは、クラウド側ではAIクラスタ「Atlas 900」、AIサーバ「Atlas 800」などの製品を展開しており、クラウドからエッジデバイスまでカバーするAIプラットフォームを提供している。中国・東莞市にあるファーウェイ 松山湖南方工場はこれらのサーバやストレージ、スマートフォン端末などのハードウェア製品を製造している。同工場では約1万5000人の従業員が働いており「ファーウェイの一大製造拠点だといえる」(秋元氏)。
残された外観検査領域でインラインカメラとAIを活用
ファーウェイ 松山湖南方工場では、約120mのほぼ自動化した一貫生産ラインを設置するなど、先進の設備を導入しており、自動化も進んでいる。しかし、一部で作業員の目視検査による外観検査など、人手による作業も残されており、これらの領域で、作業者の労働負荷が高くなる課題があった。これを、カメラ画像をAI処理した外観検査の採用により自動化を進める取り組みを進めている。これにより、作業員の負荷低減、人手の省力化、精度の向上を図っている。
ラインの中のネジ外観検査、ジェル塗布検査、ラベル検査、梱包検査にカメラを使って映像情報を収集。これをAIによる画像認識を適用し、外観検査の精度を高めている。システム的には、産業用カメラを産業用PCに接続し、そこから画像をアクセラレータカード「Atlas 300I」搭載のエッジ推論サーバでAI処理を行う。解析結果を再び産業用PCに戻し、作業員への情報表示や、製造装置の自律的コントロールを行う。「Atlas 300I」がAI処理を行うエンジンとなっているため、松山湖南方工場では同カードを75枚使用し、さまざまな領域でカメラとAIの活用を進めている。なお、松山湖南方工場に隣接する最新工場では同カードを750枚以上使うとしている。
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