福島から世界へ、デジタルツインで24時間稼働する理想の変種変量工場:スマート工場最前線(1/3 ページ)
ロボコム・アンド・エフエイコムは2021年6月28日、福島県南相馬市に先進デジタル技術を取り込んだスマート工場「ロボコム・アンド・エフエイコム南相馬工場」を開所した。製造現場の情報をリアルタイムでデジタル空間に再現する「デジタルツイン」により、24時間稼働の変種変量生産が可能だとしている。
ロボコム・アンド・エフエイコムは2021年6月28日、福島県南相馬市に先進デジタル技術を取り込んだスマート工場「ロボコム・アンド・エフエイコム南相馬工場」を開所した。製造現場の情報をリアルタイムでデジタル空間に再現する「デジタルツイン」により、24時間稼働の変種変量生産が可能だとしている。
復興工業団地進出第1号に
ロボコム・アンド・エフエイコムは、変種変量生産システムをデジタル技術で実現する企業連合「Team Cross FA」を構成する企業である。ロボットやFA(ファクトリーオートメーション)のシステムインテグレーター向けに後方支援を行っており、ロボットやFA機器をより簡単に工場で活用できるようにするためのキットの開発や生産、特注部品の短納期加工などを行っている。
新たに開所した南相馬工場は、ロボコム・アンド・エフエイコムにおいて、半製品ロボットの開発や短納期特注品加工、技術者育成を行う拠点とするとともに、デジタルファクトリーのモデル工場とするものだ。さらに、拠点となる福島県南相馬市は福島ロボットテストフィールドがあり、地域としてロボット産業を振興する位置付けも担う。ちなみに南相馬工場が立地するのは、東日本大震災からの復興における産業振興拠点として設置された復興工業団地で、同団地進出企業第1号だという。
ロボコム・アンド・エフエイコム 代表取締役社長の天野眞也氏は「日本経済において日本を支えているのが製造業だが、製造業DXはまだまだ加速しているとはいいがたい状況がある。コロナ禍も含めて製造現場には、サプライチェーンの断絶や変種変量生産の進展、脱炭素への取り組みなどさまざまな課題が押し寄せている。その解決策を工場として体現することを目指したのが南相馬工場だ」と位置付けについて語っている。
変種変量に対応するデジタルファクトリー
南相馬工場は約3万m2の敷地に3つの建屋で構成され、特注品加工などを行う加工工場は75×30×7mという規模である。展示場や倉庫、事務所などが入る本館は37×24×3mで、その他35人収容の研修施設などを設置している。加工工場は「ロボット自動化エリア」「大物加工エリア」「小物加工エリア」「3Dプリンタエリア」「QCエリア」の5つのエリアで構成されている。
南相馬工場のコンセプトは「変種変量に対応するデジタルファクトリー」であり主に以下の3つの特徴を持つ。
- カーボンニュートラルを実現するエネルギーマネジメント
- 販売から生産設備まで連動した生産システム
- 生産を停止させない工場のネットワークセキュリティ
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