電源障害によるダウンタイムから考える電源システム設計:電源システム解説(2/5 ページ)
この記事では、電源障害によって引き起こされるダウンタイムを取り上げ、これらの用途で用いられる機器の電源システムで、最新の保護ICを使用してダウンタイムを予防する方法について説明します。
システム電源障害の主な3タイプ
システム電源障害の主なタイプに電圧障害、電流障害、温度障害の3つがあります(図3参照)。これらを1つずつ見ていきましょう。
(1)電圧障害
入力電圧は、落雷、ヒューズの溶断、短絡、ホットスワップ操作、ケーブルの誘導性リンギングなど、さまざまな事象のために正常なDC電圧範囲から逸脱することがあります。
落雷を受けると高エネルギーのサージ電圧が発生する可能性があります。これは通常、フロントエンドの過渡電圧サプレッサ(TVS)デバイスと入力フィルターによって対処します。図4は、IEC 61000-4-4の電気的高速過渡現象の仕様を示しています。TVSと入力フィルターを適用した後、システム基板レベルの残余サージ電圧は依然として非常に大きい可能性があり、公称DC入力電圧の2〜3倍に達する場合もあります。
図5に示す短絡事象では、10フィートケーブルの末端における短時間の短絡によってリンギング電圧が生じ、ピーク電圧は24VDCの正常電圧の2倍に当たる50.4Vに達しています。リンギングにおける最小電圧は約11Vです。堅牢なシステムなら、リンギングが発生している間も中断なく動作し続けるか、少なくとも損傷せずに持ちこたえます。同様なリンギング電圧は、放電済みのコンデンサーを内蔵したカードを通電中のバックプレーンに差し込むホットスワップを行った場合や、誘導性負荷スイッチングの発生時、またはシステムの他の箇所でヒューズの溶断が起こったときにも発生する可能性があります。
システムの誤配線はまれにしか見られないとはいえ、発生する可能性はあります。例えば、ラックマウント式のシステムでは、カードを逆に差し込んだり、誤った極性の電源ケーブルを接続したりすることがないとは限りません。入力電圧が急低下した場合(入力が短絡した場合や低電圧でリンギングした場合)、出力コンデンサーの電位の方が高くなり、逆電圧状態になります。逆電圧状態は、出力が(例えば結束ケーブル内で)高電圧レールに突然短絡した時にも発生する場合があります。入力逆電圧障害はまれにしか見られませんが、万一発生すると、多大なコストをもたらすシステム損傷の原因となる可能性があります。
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