平均値から1割以上も低い日本の「労働生産性」、昔から低いその理由とは:「ファクト」から考える中小製造業の生きる道(4)(3/5 ページ)
苦境が目立つ日本経済の中で、中小製造業はどのような役割を果たすのか――。「ファクト」を基に、中小製造業の生きる道を探す本連載。第4回では「労働生産性」に焦点を当てていきます。
経済絶頂期でも振るわなかった日本の労働生産性
それでは、日本経済のピークであった1997年の状況を各国で比較してみましょう。図4が1997年の労働生産性のグラフです。
日本は34.9ドル/時間で、34カ国中13位です。OECD平均が26.2ドル/時間、ドイツが38.6ドル/時間ですのでそれなりに高い水準ではあります。ただし、前回までに見てきたように、このころ平均所得は3万8823ドルで3位、1人当たりGDPは3万5035ドルで4位の水準でした。これに比べて明らかに労働生産性だけ見劣りする状況です。
図1を見ても明らかなように、このころの日本は平均労働時間が下がってきたといっても、他国と比べると長い時間働いていたわけですね。つまり、当時は長時間労働により稼いでいた面があり労働生産性を十分に高められていなかったということがいえそうです。
労働生産性は既に先進国下位に転落
さらに、現在の様子を見てみましょう。図5が2019年の労働生産性のグラフです。
米国やドイツ、フランス、英国、カナダは平均値以上をキープしていますが、日本は44.6ドル/時間で平均値の51.6ドル/時間を大きく下回っています。順位も35カ国中20位と下位にまで落ち込んでいますね。
直近では、1人当たりGDPも平均所得も20〜21位です。ただ、これら2つの指標は水準としては平均値をやや下回る程度ですが、労働生産性については平均値より1割以上小さい水準です。先ほどの国内統計データで、日本企業の労働生産性は4000〜4500円時間時間が平均値というデータを示しましたが、実はこの水準は先進国の中では低い方なわけです。同じ工業立国のドイツでは6500円/時間(61.5ドル/時間)、米国は8100円/時間(77ドル/時間)が平均値ということになりますので、大きな差があります。
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