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少量多品種製造を高効率に、“自販機”も使うOKIネクステックの自動化への道メイドインジャパンの現場力(30)(1/2 ページ)

製品ニーズの多様化が進む中、特に国内工場には少量多品種生産の体制で、いかに効率化を図るかという点が大きなテーマになってきている。こうした中で、さまざまな工夫で自動化領域を拡大し、生産性向上を図っているのが、OKIネクステックの小諸事業所だ。同社の生産性向上への取り組みを紹介する。

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 製品ニーズの多様化が進む中、特に国内工場には少量多品種生産の体制で、いかに効率化を図るかという点が大きなテーマになってきている。こうした中で、さまざまな工夫で自動化領域を拡大し、生産性向上を図っているのが、DMS(Development&Design Manufacturing Service)/EMS(Electronics Manufacturing Service)事業を展開し、電子機器の開発や製造などを担うOKIネクステックの小諸事業所だ。同社の生産性向上への取り組みを紹介する。

少量多品種体制に合わせた、工場自動化の工夫

 OKIネクステックは、2021年4月に沖電気コミュニケーションシステムズと長野沖電気が統合して誕生。産業用機器の受託開発などを得意とし、開発から生産まで一貫して対応していることが特徴だ。例えば、要求仕様に応じたハード設計、電子基板設計と製造、これらの量産製造などを行っている。

 電子機器の製造は主に、基板に部品を搭載する実装ラインで基板の製造を行い、その後、筐体に組み込むという形となっている。同工場では基板の開発製造のみを請け負うケースもあるが、実装工程は多くの電子機器製造工場と同様、実装機による自動化が進んでいる。SMT(表面実装)ラインは8本を用意し、24時間稼働を行っている。0402サイズの小型チップ部品や底面電極部品などにも対応する。

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OKIネクステック小諸事業所の生産ライン(クリックで拡大)

 ただ、これらの機器は同じものを大量に作ればよいというものではないため、少量多品種型の生産体制が求められている。特に小諸事業所では100〜1000程度のロット数の製品を得意領域としており、頻繁な機種切り替えが発生し、1日に約50回の段取り替えを行い、月間で800種類の基板製造を行っている。そのため、自動化できる領域が限定され、どうしても人手の作業が多くなっていた。

 こうした人手作業を可能な範囲で、小さな工夫を積み重ね、効率化や自動化できる領域を拡張してきているのが小諸事業所の特徴である。

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工場内に設置されたクリームはんだの自動販売機。先入れ先出し(First In, First Out)の略称(FIFO)でフィーフォ君として親しまれているという。現在は既に3代目(クリックで拡大)

 ユニークな取り組みの1つが、工場内に設置された自動販売機である。これは、実装工程で使用するクリームはんだのケースサイズが、飲料のスチール缶サイズとほぼ同じであることを発見したことから、実装ライン近くに自動販売機を設置。クリームはんだの補充が必要になった場合はここから、クリームはんだを“購入”して使う形にしているという。「クリームはんだも保管条件のある“生もの”であるので、ちょうど自動販売機での保管がはまった形だ。温度管理や個数管理としても自動販売機で記録できているために使いやすい」とOKIネクステック 企画部 部長の原田和夫氏は述べている。

 また、少量多品種生産であるため、使用する実装部品の数もどうしても多くなり、合計で2万5000種にも及ぶという。実装部品はリールの形で実装機にセットされて使用されるが、このリールの保管や、段取りなども大変な作業となる。そこで、保管棚と各リールにバーコードを設定し、必要な部品のバーコードをiPad端末で読ませるだけで、回収コースが設定されるシステムを構築しているという。設定された必要な棚までのルートをたどるだけで、必要な部品を回収できる。また、回収場所で棚やリールのバーコードを読み取らせることで正しい部品が回収できているかどうかの確認も行える。

 「リールだけで2万種以上があり、これらを人手で全て把握することは不可能だ。物流倉庫などでは棚が移動してくるようなシステムもあると聞くが、そこまでは至っておらず人が移動する必要はあるが、発想は同じような仕組みとしている。どの棚のどの部品を回収すればよいかをシステムが自動で支援してくれる」と原田氏は語っている。

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2万種以上のリールが保管されており、それぞれの棚とリールにバーコードが貼付されている。システムで回収を支援する仕組みを構築している(クリックで拡大)

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