製造業DXには「サイロバスター」が必要、シーメンスが訴えるポイント:製造業IoT(1/2 ページ)
ドイツのSiemens(シーメンス)は、産業向けオンライン展示会「Hannover Messe 2021 Digital Edition」(2021年4月12〜16日)と連動する形で、オンラインセミナー「Digital Enterprise Virtual Experience」を開催。製造業のDXに関するさまざまなソリューションを紹介した。その中で、本稿ではシーメンス 取締役で、デジタルインダストリーズCEOに2020年10月に就任したCedrik Neike(セドリック・ナイケ)氏によるキーノートスピーチの内容を紹介する。
ドイツのSiemens(シーメンス)は、産業向けオンライン展示会「Hannover Messe 2021 Digital Edition」(2021年4月12〜16日)と連動する形で、オンラインセミナー「Digital Enterprise Virtual Experience」を開催。製造業のDXに関するさまざまなソリューションを紹介した。その中で、本稿ではシーメンス 取締役で、デジタルインダストリーズCEOに2020年10月に就任したCedrik Neike(セドリック・ナイケ)氏によるキーノートスピーチの内容を紹介する。
全ての源泉は「データ」
ナイケ氏は「多くの課題を抱える時代だ」と現状を指摘する。世界的な人口増加によるさまざまな資源不足や、気候変動に伴う環境問題、さらに、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)などを含むグローバリゼーションによる世界的な感染症拡大の問題など、さまざまな世界的な課題に直面している。
こうした中で製造業に求められるものとして「デジタライゼーションとオートメーションを進め、もっと柔軟で素早い体制に変革していくことが求められている」(ナイケ氏)とデジタル化の重要性について強調する。例えば、医薬品製造においては、研究開発からテスト、市場投入までに非常に膨大な時間や人手がかかっている。ただ、これらは人手を中心としたもので、デジタル技術を活用することで柔軟さを実現し、大幅にこれらの時間を削減できる可能性が生まれている。COVID-19でもワクチン開発や治療薬開発でこれらのデジタル技術が活用されている。
そして、これらのカギを握る全ての源泉が「データ」であるとナイケ氏はあらためて強調した。「デジタライゼーションおよびオートメーション化が進む中で生み出されるデータはテラバイトクラスになる。例えば、1つの工場が1カ月に生み出すデータは、2200テラバイトのデータとなる。これは以前と比べると驚異的なことだ」とナイケ氏は語る。
「データ」の取り扱いにおいては「Get(収集)」「Understand(理解)」「Use(活用)」というステップが必要となる。これらをループさせる形で結び付けていくことが重要だとナイケ氏は主張する。「バーチャル環境とフィジカル環境を『Infinity Loop(無限の形でのループ)』として結び付けていくことが重要だ。それぞれのデータを結び付け、それぞれにフィードバックが行われる状況を作る」(ナイケ氏)。
ナイケ氏は「デジタライゼーションの価値は、大企業や中小企業など、企業の規模に関係なく、さらに業種などにも関係なく求められていることだ」と語り、オーストラリアのビール会社の例を紹介した。従来はレストランなどでビールを提供してきたが、COVID-19によるロックダウンなどもあり、レストラン向けのビール需要は急減した。そこで、家庭向けの缶ビールへと製造プロセスや販売プロセスなどを切り替えたが、これらの背景としてプロセスやシステムがデジタル化されそれぞれが連携できる仕組みとなっていたことが大きかったと紹介した。
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