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カオスな倉庫も独自技術で柔軟に走行、Rapyuta Roboticsの自律移動ロボット羽田卓生のロボットDX最前線(3)(4/5 ページ)

「ロボット×DX×工場」をテーマに、さまざまな領域でのロボットを活用したDXの取り組みを紹介する本連載。第3回は、独自の群制御技術を搭載したクラウドロボティクスプラットフォームと、対応する自律移動ロボットを開発するRapyuta Roboticsを取り上げる。

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「半年以内」の導入成果を求める理由は

 京葉流通倉庫における業務の約70%はピッキング業務だ。Rapyuta Robotics Business Development Managerの小堀貴之氏は、この間のカートを押して歩いている時間こそ「倉庫業務最大の削りしろだ」と指摘する。歩く時間、言い換えると歩行距離を短縮できれば業務の生産性は上がる。

 また、発注から発送のリードタイム短縮や、検品レス、伝票レスといった物流業務の高度化への対応も求められていた。ピッキング後に再度検品作業は行わないため、オリコンに張られているバーコードと中身は一致している必要がある。高精度と高信頼性の自動化手段を求めていた。

 既に書いてきた通り、京葉流通倉庫が抱える上述の課題は、rapyuta ioとAMRが持つ独自の強みで一定程度の解決が図れる。しかし、当然だが導入すればそれで全てが解決するわけはない。飯塚氏は、「導入後3カ月で安定稼働を実現し、半年以内に結果を出せるようにしたい」と述べる。

 早期の結果創出にこだわるのは、コスト面の問題が大きい。荷主企業から3PL企業への支払いは契約上、「流通総額に対する一定比率」となっているケースが多く、現場作業員の人手を増やしても、フォークリフトを購入しても、荷主企業にそのコストを転嫁できない。このため、変動する流通量に対応するためのコストは自己負担しなければならないが、当然“ムダ”な費用はなるべく省く必要がある。

 また、ロボットを導入しても既存の業務を100%ロボットに置き換えることは難しい。人力の業務は最後まで残る。京葉流通倉庫の場合、「ロボット化可能な範囲は全ピッキング業務の40%ぐらいまで。それ以上は難しいだろう」と、飯塚氏は説明する。どうしても人間の方が柔軟に業務をこなせるし、業務量の瞬間的な変動に対しては、人間の方が対応しやすい。人間とロボットの業務バランス最適化は、永遠の課題だ。

 ただ、rapyuta.ioもバランスを追求するニーズに対しても応えられるシステムになってはいる。人手で行う場所は人手で、AMRが行う場所はAMRでと使い分けることも可能で、その配分も都度変更可能だ。


従来方式とAMR方式が混在する様子[クリックして拡大]

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