設計者CAEで知っておくべき構造解析の分類と流体解析のアプローチ:実例で学ぶステップアップ設計者CAE(11)(2/4 ページ)
初心者を対象に、ステップアップで「設計者CAE」の実践的なアプローチを学ぶ連載。詳細設計過程における解析事例を題材に、その解析内容と解析結果をどう判断し、設計パラメータに反映するかについて、流れに沿って解説する。第11回は、解析の中でも範囲の広い「構造解析」の分類と、構造解析と同じくらいよく使われる「流体解析」のアプローチについて紹介する。
2.流体解析
続いて、構造解析と同じくらい使われている流体解析のアプローチについて見ていきましょう。今回は図5に示す、ノズル形状の部品の解析を行います。解析の目的は、複数ある出口からの流体の均一性(水が均一に流れるか)を評価することです。
以降に、解析条件と解析設定について示します。
解析条件
- 流体:水
- 流体温度:23℃
- 設置環境:大気圧(10万1300[Pa])
- 環境温度:23℃
- 入口:ゲージ圧(100k[Pa])
解析設定
筆者が使用する「SOLIDWORKS Flow Simulation」の流体解析では、「内部流れ」と「外部流れ」の分類があります(図6)。
今回の解析テーマでは、内部流れの評価を行い、管内の流れの均一性を確認します。ちなみに“流れ”には「層流」と「乱流」の2種類があることをご存じでしょうか(図7)。
流体の速度によって、層流になるのか乱流になるのかを考えることができます。筆者の経験から判断すると、速度が遅い場合は層流、速い場合は乱流といってよいかもしれません。実際には流体の粘性係数が、層流になるのか乱流になるのかの影響度が高いといえます。その理解を深めるには、図8に示す基本式を知っておくとよいでしょう。
図8に示す式を見て分かるのは、レイノズル数は、分母の粘性力(流体の粘りによって生じる力)に対する分子の慣性力(分子)の影響を表しています。粘性力は流れを安定させる働きがあり、慣性力は流れの速さにより生じる力となって流れを不安定にします。そのため、レイノルズ数の小さい流れは粘性力が大きく安定した状態となり層流に、レイノズル数の大きい流れは慣性力が大きく不安定な状態となり乱流になります。なお、流れが層流から乱流に変化することを「遷移」といいます。
ちなみに、流体力学で非常に有名なレイノズル数ですが、イギリスの物理学者オズボーン・レイノルズ(Osborne Reynolds)氏の「レイノズルの実験」により導かれたものです。
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