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ソフトウェア技術者のためのバグ百科事典(18)開発工数の半分を占めるテストのバグのケーススタディー山浦恒央の“くみこみ”な話(139)(2/3 ページ)

ソフトウェア技術者に向けて、バグに関する基礎知識をまとめていく新シリーズ「バグ百科事典」。第18回は、開発工数の半分を占めるテストのバグのケーススタディーを紹介します。

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3.テストにもバグがある

 テストは成果物のバグを探す作業ですが、実施方法によっては逆にバグを作り込みます。例えば、連載第129回では、テストのバグとして、以下の4つを取り上げました。

  • テストの入力値を間違える
  • 使用するバージョンを間違える
  • テスト判定の良否を間違える
  • 機器のセットアップを間違える

 上記のいずれも一度は経験する常連バグでしょう。テストのバグの特徴は、プログラムのバグとの区別がつきにくいことや、場合によってはテストの信頼性が失われることです。例えば、「そもそもの入力値が間違っていた」「テストするバージョンが違っていた」「テスト項目に転記ミスがあった」「ケーブルを接続していなかった」などです。

 傾向と対策は以前示しましたので、今回は、筆者のやってしまったケーススタディー集を中心とします。

4.テストのバグのケーススタディー

4.1 操作ミスが原因だった

 コンソール上で動作するプログラムを開発していたときの話です。テストをする際に、効率を上げるため、コマンドをExcelにまとめ、コピペで実行していました(図1)。

図1
図1 テストの実施イメージ(左:プログラムの実行画面、右:テスト項目)(クリックで拡大)

 図1は、テストの実施イメージです。左の図は、コンソール画面からプログラムを実行している様子で、右はコマンドをまとめたExcelシートを表しています。テスト項目に合わせて、セルにカーソルを合わせ、キーボードの「Ctrl+c」でコマンドをコピーし、「Alt+Tab」でウィンドウをコンソールに切り替え、「Ctrl+v」でコマンドをペーストしてテストしていました。

 テストを始めて3時間ぐらいが経過し、テストに慣れてきたころ、突然、プログラムが停止しました。「プログラムのバグかな……」と思いましたが、原因は違いました。

 原因は、テスト手順の途中に、コンソール画面で「Ctrl+c」を押し、これによりプログラムが終了したのです※2)。つまり、コマンドをコピーしたのではなく、コンソール画面で終了コマンドを入力してしまったのです。

 そこで、統合開発環境から実行することにより「Ctrl+c」の誤入力への対策としました(統合開発環境からの実行では、Ctrl+cはプログラム終了ではないため)。

※2)コンソール画面では、「Ctrl+c」を入力するとプログラムの終了コマンドとなります。主に、無限ループのプログラムを終了する場合に使いますね。

4.2 テスト項目の実施抜け

 同じテスト手順を何度も繰り返すと、人間は飽きてくるものです。その際、頻発するのがテスト手順の抜けです(表4)。例えば、ログの起動し忘れでしょう。

No. 手順 確認結果
1 初期設定値を変更する
2 プログラムを起動する
3 指令値入力する
4 ログを起動する
5 動作を開始する
5 プログラムを停止する
6 ログ停止
7 ログからテスト結果の評価をする
表4 テスト手順

 表4はテスト手順の例です。例えば、テスト開始前にログを起動し、テストするプログラムとします。その場合、ログを起動し忘れるとテストを実行しても、ログデータを確認できず、再テストせねばなりません。

 1人で行うテストならば問題ありませんが、複数人が関わると、「またやり直すのか……」とプロジェクトの雰囲気が一気に悪くなります。注意しましょう。

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