市場合理化生産を進めるダイキン工業、国内工場の「求心力」生かした自動化推進:スマート工場EXPO(1/2 ページ)
スマート工場・スマート物流を実現するためのIoTソリューション、AI、FA/ロボットなどの最新技術を紹介する「第5回 スマート工場 EXPO〜IoT/AI/FAによる製造革新展〜」(2021年1月20〜22日、東京ビッグサイト)の特別講演にダイキン工業 役員待遇 空調生産本部 副本部長兼生産技術部長の長谷川功氏が登壇。「ダイキンのものづくり革新と標準化によるグローバル展開」をテーマに同社のモノづくり戦略を紹介した。
スマート工場・スマート物流を実現するためのIoT(モノのインターネット)ソリューション、AI(人工知能)、FA(ファクトリーオートメーション)/ロボットなどの最新技術を紹介する「第5回 スマート工場 EXPO〜IoT/AI/FAによる製造革新展〜」(2021年1月20〜22日、東京ビッグサイト)の特別講演にダイキン工業 役員待遇 空調生産本部 副本部長兼生産技術部長の長谷川功氏が登壇。「ダイキンのものづくり革新と標準化によるグローバル展開」をテーマに同社のモノづくり戦略を紹介した。本稿ではその内容をお伝えする。
グローバル化が進む中「市場合理化生産」を推進
ダイキン工業は世界最大クラスの空調機器メーカーである。2019年度(2020年3月期)の売上高は2兆5500億円に及ぶ。グローバルで約8万人の従業員を抱えており、モノづくりに関係するスタッフが5万人いるという。商品ラインアップは一般住宅からビル、商業施設、産業用まで幅広い空調製品を展開している。コロナ禍においては、換気や空気の質をサービスとして提供するソリューションなどを展開している。
ダイキン工業のもう1つの特徴が「グローバル化が進んでいる」という点である。従業員8万人の中で9割が日本人以外であり、海外売上高比率が約8割となるなど、グローバル企業として実績を伸ばしてきた。海外の生産拠点は90拠点、空調におけるR&Dセンターは25カ所ある。基本的な考え方として“地産地消”を意識した現地密着型のモノづくりを展開している。「市場に近い場所で情報を得て、短いリードタイムで生産し、短納期に現地のユーザーに届けるという事を念頭に取り組んでいる」と長谷川氏は考えを述べる。
ただ、それぞれの地域で一から製品作りを行うことは、重複開発なども生まれ効率が悪くなる。そこで、日本でベースモデルを手掛けることでスピードアップを図ってきた。ベースモデルは各地域に向けた標準的なモデルで、ベースモデルを基にそれぞれの地域に合ったデザインや機能などを加えて製品投入を行う。例えば、欧州向けには「暖房能力を高める」、東南アジア向けには「冷房能力を強める」などの根幹となる性能のベースを作る。現地では、意匠設計などを施すというような仕組みである。
長谷川氏は「空調機の需要は気候変動にも大きく左右される。そのため空調機事業を展開するには、リスクヘッジのため、在庫を持たずにいかにリードタイムを短くしていくかが重要となる。そのため、地産地消という考え方をもう一歩進めた『市場合理化生産』を進めている」とダイキン工業の取り組みについて説明する。
市場合理化生産を支えるモノづくりは、ジャストインタイムが原則であり、トヨタ生産方式(TPS)の思想をベースに独自の特徴を加え、多品種混合生産を実現する生産方式「PDS(Production of DAIKIN System)生産」を実施する。カスタム製品の多い空調機であるため、基本的に混合種一個流しを行っている。これにより「在庫を持たずに必要なものを必要な時に、必要なだけ作る」ことを行う。この場合、「作る技術よりも、商品の多様化への対応や減産などの予定の変更を計画通りに進めるという対応力が何よりも重要になる」と長谷川氏は語っている。
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