「Armadillo-IoT」に省電力モデル、スリープ時消費電力100mWで起動は1秒:組み込み開発ニュース(1/2 ページ)
アットマークテクノは、IoTゲートウェイ「Armadillo-IoTシリーズ」の最新製品となる「Armadillo-IoT A6」を発表した。構造物モニタリングや河川の水位測定などの用途に向けて省電力性能を高めたことが最大の特徴。消費電力はスリープ時100mWで、スリープからの起動時間も1秒と短い。
アットマークテクノは2021年1月26日、オンラインで会見を開き、IoT(モノのインターネット)ゲートウェイ「Armadillo-IoTシリーズ」の最新製品となる「Armadillo-IoT A6(以下、A6)」を発表した。構造物モニタリングや河川の水位測定などの用途に向けて省電力性能を高めたことが最大の特徴で、消費電力はシャットダウン時で1mW、スリープ時で100mW、ピーク時で1950mW、起動時間もシャットダウンからは10秒、スリープからは1秒など、可能な限り消費電力を削減できる設計となっている。開発向けモデルの価格(税別)は、ボード型の「U1モデル」とボックス型の「C1モデル」とも2万9800円。2021年3月末に発売する予定で、U1モデル、C1モデルとも、数量ディスカウントが可能な量産モデルの提供も可能である。
同社は2014年から、Armプロセッサと組み込みLinuxをベースとするArmadillo-IoTシリーズを展開している。IoTへの注目が集まる中、2016年にはエッジコンピューティング対応をコンセプトに、より高性能化を図った「Armadillo-IoT G3」を投入し、2020年9月にはシリーズ累計で50万台の出荷を果たした。アットマークテクノ 代表取締役の實吉智裕氏は「次のシリーズ展開としてさらなる高性能化という方向性もあるが、今回発表するA6は省電力化に舵をきって開発した製品になる」と語る。
A6が対象とするのは、カメラをはじめとするさまざまなセンサーと接続して常時センシングを行うとともに、AI(人工知能)アルゴリズムを活用して分析なども行うような高性能のゲートウェイではなく、電力的な高効率を重視し、システム全体が間欠的に動作する「電力自給型ゲートウェイ」である。電力自給型ゲートウェイは、橋梁などの構造物のモニタリング、洪水や土砂崩れなどの自然災害検知のためのセンサーデータの収集と、広範囲をカバーするLTEによる通信を行いながら、太陽光パネルなどを用いて電力供給を外部に頼らないようにするものだ。
例えば、電力自給型ゲートウェイの用途の一つとして想定される河川の水位測定では、国土交通省が定める「危機管理型水位計」の観測基準や仕様に準拠しなければならない。平常時は水位を10分間隔以内で監視し(監視モード)、水位が観測開始水位を上回る洪水時は、大河川で10分、中小河川で5分、水位が急激に上昇する河川で2分という間隔で計測とデータの送信(観測モード)を行うことが標準となっている。「水位が急激に上昇する河川における2分間隔というのは、起動時間が長いIoTゲートウェイだとほぼ動きっぱなしになる」(實吉氏)。また、太陽光パネルを電源に用いる場合は、9日間無日照でも観測モードで150回程度の計測とデータ送信が必要とされているが、先述した水位が急激に上昇する河川だと、この150回に相当する5時間にすぎず、防災設備として十分な機能とはいい難いものとなってしまう。
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