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「製品化」に必要な知識とスキルとはアイデアを「製品化」する方法、ズバリ教えます!(1)(2/3 ページ)

自分のアイデアを具現化し、それを製品として世に送り出すために必要なことは何か。素晴らしいアイデアや技術力だけではなし得ない、「製品化」を実現するための知識やスキル、視点について詳しく解説する。第1回のテーマは「製品化に必要な知識とスキル」だ。まずは筆者が直面した2つのエピソードを紹介しよう。

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「1個モノ」と「量産モノ」の違い 〜製造性〜

 では、「1個モノ」と「量産モノ」の大きな違いは何だろうか。「1個モノ」を作るのはそれほど難しいことではない。取り付けにくい部品があっても工夫しながら組み付け、部品の取り付ける向きを間違えていても後から手直しできる。

 しかし、「量産モノ」の場合、そうはいかない。例えば、1日に100個作る場合は、取り付けにくい部品が100個もあれば、作業はとても大変だ。部品の向きが間違っていることが組み上がった後に見つかれば、100個全部を見直さなければならない。これもとても大変な作業である。よって、そのような「取り付けにくい」「部品の方向を間違える」ことがないように、設計段階で対応しておく必要がある。つまり、「量産モノ」の設計には、簡単で間違えなく組み立てられる「製造性」の知識が必要となるのである(図2)。

「1個モノ」と「量産モノ」の違い 〜コスト管理〜

 展示品やロボットはコストを強く意識することはあまりない。設備/装置や特注品に関しても、予算はあるがそれほどコストに厳しくない。しかし、「量産モノ」ではそうはいかない。材料費を1円下げれば、それに販売個数を掛けた分だけ利益となる。「量産モノ」を作る企業は利益を得ることが重要であるため、製品のコストはとても厳しく管理され、その「コスト管理」の下で設計を行わなければならない(図2)。

「1個モノ」と「量産モノ」の違い
図2 「1個モノ」と「量産モノ」の違い [クリックで拡大]

「市場に出ないモノ」と「市場に出るモノ」の違い 〜安全性〜

 「量産モノ」は不特定多数の顧客がいる市場に出るため、安全であることが担保されている必要がある。例えば、そのモノを使用する人にケガをさせてはならない。また、使用中に発火して家財道具に損害を与えてはならない。安全性の中でも重要な内容に関しては各国に法規制がある。電気製品であれば、日本は電気用品安全法(PSE)、米国はUL、欧州はEN規格、中国はCCCがある。よって「量産モノ」の設計には「安全性」の知識が必要になるのだ。

 「1個モノ」である展示品やロボットは、不特定多数の顧客がいる市場には出ない。使用する特定の人が、安全に注意して使用すればよい。設備/装置や特注品は販売されるが、それらは使用者が特定された顧客であるため安全性は厳しく規制されていない(図3)。

「市場に出ないモノ」と「市場に出るモノ」の違い 〜信頼性〜

 「量産モノ」は不特定多数の顧客が、さまざまな使用の仕方(使い方)をするため、ある使用条件下での「信頼性」を決めて保証しておく必要がある。製品が輸送中に壊れないように輸送試験を行い、水の近くで使用される製品は防水試験を行う。これらは法規制ではないが必ずパスしなければならない規格として、JISに規定されている。

 「1個モノ」である展示品やロボットは、使用する人が特定されていて使用期間も限定されている。よって、信頼性はさほど気にして設計する必要はない。だたし、設備/装置の長期信頼性は必要である(図3)。

「市場に出ないモノ/出るモノ」の違い
図3 「市場に出ないモノ/出るモノ」の違い [クリックで拡大]

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