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中小企業を取り巻くリスクと新型コロナウイルス感染症の影響:2020年版中小企業白書を読み解く(1)(4/6 ページ)
中小企業の現状を示す「2020年版中小企業白書」だが、本連載ではこの中小企業白書を基に、中小製造業も含めた中小企業にとっての「付加価値」の創出の重要性や具体的な取り組みについて3回に分けて考察する。第1回は中小企業の現状や、新型コロナウイルス感染症が中小企業にもたらした影響について確認する。
消費税率引き上げによる影響は想定以下
2019年10月に、2014年4月以来の消費税率引上げが実施されたが、これによる中小企業への影響について見てみたい。GDPの個人消費について、2014年と2019年の消費税率引上げ前後を比較すると、2019年10月の消費税率引上げに伴い一定程度の駆け込み需要の反動減があったことが分かる(図14)。
他方で、2014年4月の消費税率引上げと比べると、今回の駆け込み需要と反動減は前回ほどでなかったとみられる。また、景況調査を用いて消費税率引上げ前後における中小企業の売上DIの推移をみると、いずれの業種においても、売上DIは消費税率引上げ時に低下しているものの、前回の消費税率引上げと比較すると、サービス業を除き低下幅は小さい(図15)。
中小企業に対して行った消費税率引上げによる業績への影響調査の結果をみても、消費税率引上げ前の6月調査の結果と比べて、消費税率引上げ後の11月調査では「全く影響はないと思う」と回答した事業者が約1割増加し、反対に「かなり影響があると思う」と回答した事業者が約1割減少しており、全体として、消費税率引上げ前に想定したほど業績への影響はなかった可能性がある(図16)。
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