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米国製造業は日本より「古い」? ベンチャーに聞く産業用IoTの普及状況製造業マネジメント インタビュー(2/2 ページ)

IIoTの日本国内での普及状況は、海外と比較するとどのように評価できるのか。米国シリコンバレーを拠点にIIoTを始めとしたIoTソリューションの開発、導入サービスなどを提供するMODEでCEOを務める上田学氏に、米国と日本でのIIoTの広まり方の違いなどを尋ねた。

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日本のメーカーはテクノロジーへの関心は高いが……

MONOist 技術の取り入れに対する姿勢という点でいうと、日本のメーカーはどうでしょうか。

上田氏 どちらかといえば、日本のメーカーの方が新しいテクノロジーへの興味は強いように思う。テクノロジーを他社に先行して使われてしまうことへの危機感もあるかもしれない。良くも悪くも、最新テクノロジーを使い「現段階では何ができるか分からないが、何かしなければ」「何かやってみよう」と考える担当者が多い。「技術に興味があるので教えてほしい」といった相談ベースの話から、最終的にPoCにつながることもある。

 シリコンバレーにもIoT企業はたくさんあるが、その創業者たちと話すと、かなり多くの企業が日本のメーカーとPoCをはじめ、大なり小なり何らかの取り組みを進めている様子が伺える。日本のメーカーは米国と比べて新しいテクノロジーの取り入れに寛容だ。ただ、よく指摘されるように、日本企業はPoCを超えて本格的に導入を始める段階になかなか到達しない。取引担当者に決裁権がなく、導入可否を即断できないことなどが原因だ。

MONOist ちなみに、米国でIIoTサービスの開発企業は増えているのでしょうか。

上田氏 シリコンバレーに限ってみても、多くのIIoTサービス関連企業が登場している。代表的なところでいえば、トラックに搭載するIIoTなどを開発しているSamsara(サムサーラ)というベンチャーは存在感が大きい。トラック運転手の安全運転や運行記録などをIoTでデータとして取得する企業だ。

 また、IIoTというよりはIoT産業全般の話になるが、米国ではGoogleやApple、Amazon.comなどのソフトウェア分野の巨大企業がIoT分野での勢力拡大を模索している。スマートスピーカーの開発などはその代表例だ。これらの企業は当然、最初からハードウェア開発のノウハウが蓄積されていたわけではないが、ハードウェアとソフトウェアの適切なデータ連携が生む価値に気付き、いままでにないサービスを実現しようとしている。

 米国投資家の中には、IoT分野に関してはソフトウェア開発企業の立場で切り込んでいく企業にしか出資しない人もいる。ハードウェア専業よりも、ソフトウェア開発企業が将来的に大きな価値を実現する可能性が高いと踏んでいるのだろう。反対に日本では、LINEがスマートスピーカーに参入した程度で、ソフトウェア企業がハードに参入する例は少ない。日米間での大きな違いの1つだ。

MONOist 直近では、製造業界もCOVID-19の感染拡大の影響を大きく受けています。こうした状況はIIoTの拡大という観点から見て、追い風となるでしょうか。

上田氏 肌感覚では、その実感がある。同業他社と話しても、COVID-19によってもたらされた“ニューノーマル”に必要とされる無人化や遠隔化に必要な問い合わせは増えている。もっとも、2020年3〜5月はIIoT導入に際して工場などに直接訪問ができなかった上、顧客も無人化よりも先に取り組むべき課題が多かったので、問い合わせはそこまで活発ではなかった。最近になってようやく引き合いが増えてきている状態だ。

 IIoTはこれまで人材不足を解消する手段として捉えられていた。ただ、COVID-19を契機に、そもそも機械を導入する方がビジネスは安定するということが伝わり始め、新たな導入の動機になっている予感がある。個人経営の工房などを別にすれば、米国の工場では日本と違って熟練工の存在感があまり強くない。こうした米国の事情もあいまって、無人化や遠隔化が加速度的に進んでいる。

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