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“不確実”な世の中で、企業変革力強化とDX推進こそが製造業の生きる道ものづくり白書2020を読み解く(2)(2/4 ページ)

日本のモノづくりの現状を示す「2020年版ものづくり白書」が2020年5月に公開された。本連載では3回にわたって「2020年版ものづくり白書」の内容を掘り下げる。第2回では、“不確実性”の高まる世界で日本の製造業が取るべき方策について紹介する。

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企業変革力強化のためのデジタル化

 2020年版ものづくり白書は、先に挙げたダイナミック・ケイパビリティに必要な3つの能力を強化するためにはデジタル化が有効だとしており、それぞれの能力を高める上で、デジタル化が及ぼすプラスの影響を下記のようにまとめている。

  • 感知:脅威や危機の感知には、デジタル技術を活用したデータの収集・分析が大きな力を発揮する。またAIは、環境や状況の変化を予測し、不確実性を低減するのに効果的である
  • 捕捉:機会の補足や既存の資産・知識・技術の再構成にリアルタイムデータの収集・分析は非常に強力な武器となる。特に、製造業の製品を通じた顧客へのサービスの提供においては、顧客ニーズの機会を捉えて、製造業の資産・知識・技術を再構成して顧客体験価値を創造できる。また、製造業のデジタル化により実現する変種変量生産やマスカスタマイゼーションは、顧客の特殊かつ少量のニーズの機会を逃さず捕捉することを可能にする
  • 変容:デジタル技術による「変容」こそが「デジタルトランスフォーメーション」である

 このように、デジタル技術は製造業のダイナミック・ケイパビリティを高める上で大きな可能性を秘めているが、日本の製造業企業の多くは、IT投資の主な目的について業務効率化やコスト削減や旧来型の基幹系システムの更新や維持にあると見なしている。電子情報技術産業協会(JEITA)の「2017年国内企業の『IT経営』に関する調査」(2018年1月)によると、日本企業は米国企業に比べて「業務効率化 / コスト削減」のための「守りのIT投資」に重点を置いており、ITを活用した新たなビジネスモデルの構築やサービスの開発を行うための「攻めのIT投資」が進んでいない(図2)。

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図2:IT投資における日米比較(クリックで拡大)出典:2020年版ものづくり白書

 また、日本の製造業企業に対して、IT投資の目的について調査したところ、業務効率化やコスト削減、あるいは旧来型の基幹系システムの更新や維持を重視していることが明らかとなった(図3)。

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図3:IT投資の目的(クリックで拡大)出典:2020年版ものづくり白書

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