技術者派遣は不景気に強い? 向いているのはどんな人?:モノづくり業界転職トレンド(22)(1/2 ページ)
エンジニアの働き方の一つに「技術者派遣」がある。“生涯ずっとエンジニア”も夢ではなく、好奇心旺盛でチャレンジしたい人にお勧めな、技術者派遣とその魅力について転職コンサルタントに話を聞いた。
今回は「技術者派遣」をテーマにお届けする。派遣という言葉には、あまりポジティブなイメージを持っていない方も多いと思うが、この記事を読んだ後は考えが変わるかもしれない。自動車業界専門転職サイト「オートモーティブ・ジョブズ」を展開するクイックの人材紹介事業本部 自動車チーム マネージャー 関寺庸平氏に、技術者派遣会社や、派遣での働き方などを聞いたところ、いろいろなメリットがあることが分かった。この記事を通じて、技術者派遣とその魅力について知ってほしい。
採用枠は縮小。特に自動車業界が顕著
まず今回も、転職市場の近況からお届けする。2020年7月1日に日銀の短観が発表され、リーマンショック直後に次ぐ落ち込みであることが明らかになった。製造業の状況も厳しく、特に自動車はマイナス72ポイントと大きく落ち込んでいる。採用市場も同様だ。CASEを含めた新しい技術など、採用がまったくないわけではないが、製造業のなかでも自動車関連業界の採用は厳しい状況が続いている。
一方、前回紹介した半導体関連業界の採用は比較的順調。大きく伸びてはいないが、減ってもいないという状況だ。
年齢層では、若手がより厳しい。「『若手を採用するなら新卒』という動きもあり、中堅からマネジメント手前ぐらいの層の方が、採用の温度感は高い」と関寺氏は説明する。
技術者派遣とは?
さて「派遣」と聞いて、皆さんはどのようなイメージを思い浮かべるだろうか。派遣会社に登録しておいて、仕事があれば「派遣契約」を結び、不景気になれば派遣から整理される……というイメージを持っておられる方が多いのではないかと推察する。
実は、技術者のような専門職は、働き方は派遣でも、派遣会社の正社員として雇用されるのが一般的だ。派遣会社からお客さま先に派遣されるため、仮にお客さま先での仕事が終了しても、派遣会社の社員であることは変わらない。
製造業の採用が厳しい中で、技術者派遣の会社自体はどのような状況なのか。技術者派遣会社は、業界のニーズに応じて派遣先を変えることができる。いろいろな会社との付き合いがあるため、どの業界に仕事があるか、市場がどのような技術を求めているかも分かる。また余剰があったとしても、会社として開発案件を請け負って社内で開発する、外部に対して教育・研修を提供するなど、フレキシブルに対応することができる。
つまり技術者派遣会社の強みは、メーカーのように1つのプロダクトやプロジェクト、業界の浮き沈みに左右されることがなく、人を柔軟に配置できること。当然採用も、不景気でも比較的安定している。関寺氏によれば、技術者派遣会社の採用枠は、増えてはいないものの微減にとどまっており「採用が厳しくなっている業界と比べれば、間違いなく強い」という。
給与も気になるところだが、一般的なメーカーなどと遜色ない。ただ、年齢や役職によって給与が上がるという年功序列型というよりも、エンジニアとしての能力を細かく評価し、レベルが設定されるといった給与体系が多い。つまりエンジニアとして優秀であることが給与につながるのだ。
フォロー体制もしっかりしている。派遣先とのパイプ役になるのは営業だが、派遣先企業を定期的に訪れるなどして、エンジニアの悩みやキャリア形成などの相談にも応じてくれる。
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