DXを実現し成果を挙げる設計・生産部門、そのカギを握るPTCのテクノロジー:LiveWorx 20 Virtual(1/2 ページ)
PTCは年次ユーザーカンファレンス「LiveWorx 20 Virtual」をオンライン上で開催した。本稿ではPTC製品を導入した製造業者のデジタルトランスフォーメーション(以下、DX)の取り組みを紹介した基調講演を取り上げ、その内容を抜粋してお届けする。
PTCは2020年6月9日(米国現地時間)、年次ユーザーカンファレンス「LiveWorx 20 Virtual」をオンライン上で開催した。LiveWorxは毎年、米国マサチューセッツ州ボストンで開催されているが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響によってオンラインでの開催となった。
本稿では本稿では同イベントの基調講演から、PTC製品を導入した製造業者のデジタルトランスフォーメーション(以下、DX)の取り組みを紹介した講演を取り上げ、その内容を抜粋してお届けする。講演はPTC 副社長兼COO(最高顧客責任者)であるエドゥアルダ・カマチョ氏と、PTC 製品担当副社長を務めるケビン・レン氏の2人が担当した。
カスタム製品を迅速に設計する体制を整備
カマチョ氏が紹介したのは設計部門におけるDXの事例だ。具体的な企業として、インドのオートバイメーカーであるRoyal Enfieldを取り上げた。
Royal Enfield製品のユーザーは欧州とインドに集中しているが、その生産台数は欧州と北米のオートバイ生産台数を上回っている。こうした状況に加えて、カマチョ氏は「Royal Enfieldのユーザーは、自身の個性表現の一環として同社製品を購入する傾向がある。つまり、カスタム化の要望が多くなりがちだ。このため、同社は製品は大量生産しつつも、異なるカスタムの要望に迅速に応じられるように設計サイクルを回していく必要があった。いわゆるマスカスタマイゼーション上の課題を抱えていたのだ」と説明した。
課題解決のため、Royal Enfieldはデジタル環境の改革に取り組んだ。同社の設計部門には160人の設計技術者が在籍しているが、専門分野や設計担当のシステム、製品が違っていた上、開発拠点も異なっていた。こうした状況下で顧客の要望に応えつつ、設計サイクルを可能な限り短縮化するために、Royal Enfieldはリアルタイムシミュレーションを可能にする「Creo Simulation Live」を導入した。
Creo Simulation Liveは、技術者が設計のフィードバックを素早く取得し、設計に反映することを可能にする。これに加えてAI(人工知能)技術を設計過程に導入することで、「オートバイのエンジンやシャシー、その他のカスタム商品の迅速な設計も可能になった」(カマチョ氏)という。
またカマチョ氏はRoyal Enfieldはマスカスタマイゼーション以外の分野でもPTC製品を活用していると語る。「その一例がマーケティング分野での産業用ARソリューション『Vuforia Studio』の導入だ。Vuforia Studioを使うことで、物理モデルにデジタル表現を組み合わせたオートバイのモデルをAR空間に配置できる。セールスイベントへの活用はもちろん、メンテナンスの範囲検討時などにも効果的だ。またこれとは別に、組み立て工程の生産作業者向けのOJT(On The Job Training)としても用いられており、結果的に劇的な生産性向上を果たしている」(カマチョ氏)。
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