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「Jetson Xavier NX」で組み込みAIを試すJetson Nanoで組み込みAIを試す(特別編)(2/4 ページ)

2020年5月14日に行われたNVIDIAの「GTC 2020」の基調講演で発売がアナウンスされた、組み込みAIボード「Jetsonシリーズ」の最新製品となる「Jetson Xavier NX」。「Jetson Nano」の連載を担当した技術ライターの大原雄介氏に、Jetson Xavier NXの開発者キットをレビューしてもらった。

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「Jetson Xavier NX」の性能は「Jetson TX2」の10倍以上

 さて、話の順序が逆になったが、以前レビューしたJetson Nanoと今回のJetson Xavier NXでは搭載されているチップが異なっている。

 表1に簡単に違いをまとめてみたが、そもそも製造プロセスが異なっており、CPUのコア数も、GPUのシェーダ数も異なる。GPUに関してはPascal世代からVolta世代に進化しており、従来のCUDAコアだけでなく、AI処理を行うための「Tensorコア」を搭載しているため、Jetson Nanoとは比べものにならない処理性能が発揮できるとしている。

Jetson Nano Jetson Xavier NX
搭載チップ TM660M(Tegra X1) Xavier NX
製造プロセス TSMC 40nm TSMC 12nm
CPU Cortex-A57×4 Carmel×6
CPU動作速度 1.428GHz 1.2G〜1.9GHz
GPUアーキテクチャ Maxell Volta
CUDA Core数 128 384
Tensor Core数 なし 48
GPU動作速度 921MHz 800/1100MHz
表1 Jetson NanoとJetson Xavier NXの仕様比較

 実際にNVIDIAの資料では、これまでの組み込みAIボードの中核製品だった「Jetson TX2」と比較して10倍以上高速とされており、Jetson Nanoと比較するとさらに差が大きい(図14)。

図14
図14 「Jetsonシリーズ」のフラグシップである「Jetson AGX Xavier」が「Jetson Xavier NX」より高速とはいえ、Jetson Xavier NXと「Jetson Nano」を比較すると20〜30倍程度の性能差に見える(クリックで拡大) 出典:NVIDIA Developer Blog

 ちなみに、Jetson Xavier NXの動作周波数に幅があるのは、消費電力で動作周波数が異なるためである。以下のように、10Wと15Wの2つのモードがあり、切り替えが可能だ。

  • 10Wモード:CPUは2コアで1.5GHz、4コアで1.2GHz。GPUは800MHz
  • 15Wモード:CPUは2コアで1.9GHz、4/6コアで1.4GHz。GPUは1100MHz

 切り替えは簡単で、Ubuntuをインストールすると、こんな具合(図15)にGUIでパワーモードを選択できるようになっている。また搭載されるCPUも、NVIDIA自社開発の「Carmel」コア(「Project Denver」の派生型、最大7ウェイのスーパースカラー)になっており、Jetson Nanoと比べるとこちらの性能も上がっているようだ。このあたりは後でちょっと性能比較をしてみたい。

図15
図15 メニューバーの右にこれが出てくる

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