“標高10mのIoT”を「新たなモノづくりの土台」へ、変革進めるオムロンの挑戦:FAインタビュー(2/4 ページ)
新型コロナウイルス感染症が製造業のさまざまな活動に影響を及ぼす中、今後の工場や自動化の流れはどう変わるのだろうか。“アフターコロナ”のモノづくりの在り方とオムロンの取り組みについて、オムロン 執行役員副社長 インダストリアルオートメーションビジネスカンパニー 社長 宮永裕氏に話を聞いた。
立体化を実現した「i-Automation!」への3つの手応え
MONOist 以前から取り組んできた方向性が、異なる要素を加えながらもさらに加速するということですね。オムロンでは、自動化や省人化を加速するために、以前から「i-Automation!」を掲げ、さまざまな取り組みを進めてきました。ここまでの手応えについてはどう感じていますか。
宮永氏 「i-Automation!」は2016年に発表した「innovative Automation(革新的な自動化)」を目指すコンセプトだが、「i」の頭文字に「integrated(制御進化)」「intelligent(知能化)」「interactive(人と機械の新しい協調)」の3つを基軸としたソリューション化の方向性を示したのがポイントである。このソリューション化の方向性だが、ここまでの取り組みには大きな手応えを感じている。
1つ目は、ソリューション提案を進める中でアプリケーションが着実に増えてきたという点だ。「i-Automation!」は従来のセンサーやコントローラーなど各種機器を単体で販売するのではなく、製造現場の課題解決をソリューション型で提案するというものだ。そのため、ハードやソフトだけでなくこれらを組み合わせたソリューションとしてアプリケーションを提供できるようにすることが重要である。その意味で、2016〜2019年の間に170以上のアプリケーションを構築してきたことが大きなポイントだと考えている。業界も自動車業界、半導体製造業界、食品加工業界など多岐にわたる。
この取り組みの成果を端的に示したのが2019年の産業用オートメーションと計測技術の展示会「IIFES2019」(2019年11月27〜29日、東京ビッグサイト)での展示である。ここでは商品展示はほぼなく、全てアプリケーションの動態展示を中心としたことが特徴だ。以前の展示会では、ソリューション型を訴えていてもアプリケーションが十分ではなかったため、全てをこうした展示にすることはできなかったが、顧客企業とともに、アプリケーション構築に取り組んできた成果がこれらの展示に結び付いた。来場者にも非常に好評で、課題訴求型を訴えてきた真価を発揮できたと考えている。
2つ目は、これらのアプリケーションを構築するための「オートメーションセンタ」を全世界に拡充できてきたことだ。3年前には8拠点ほどしかなかったが、現在は全世界で37拠点を設立し、世界各地で「共創」拠点として取り組みを進めている。2020年1月には、東京の品川に「オートメーションセンタ TOKYO(ATC-TOKYO)」をグランドオープンさせたが、これらの拠点とともに、アプリケーション構築を担うフィールドエンジニアの育成なども順調に進んでいる。
3つ目は、「i-Automation!」で構築されたこれらのアプリケーションをサービスとして提供する「i-BELT」の展開である。これは、「i-Automation!」によるデータを活用し、パートナーとして継続的に製造現場の課題解決を進めるサービスビジネスへの取り組みだ。
これらの「i-Automation!」でのアプリケーション構築と、それを生み出す「共創の拠点」としての「オートメーションセンタ」、これらをサービスとして提供する仕組みである「i-BELT」の3つがそろったことで、「モノづくりの課題解決」に向けた立体的な仕組みが構築できたと考えている。
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