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火花のエネルギーで金属を非接触加工する「放電加工」の技術ママさん設計者が教える「設計者のための部品加工技術の世界」(6)(1/3 ページ)

設計者でも知っておくべき部品加工技術をテーマに、ファブレスメーカーのママさん設計者が、専門用語を交えながら部品加工の世界を優しく紹介する連載。最終回となる第6回は、「放電加工」について取り上げる。

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 皆さん、こんにちは! Material工房・テクノフレキスの藤崎です。

 これまで、精密板金とプレス抜き型による打ち抜き、そして旋盤フライス(マシニングセンター)の技術を見てきました。最終回となる今回は、「放電加工」の技術を取り上げます。既に連載第1回で簡単に触れた通り、放電加工とは“電気が起こす火花のエネルギーによって穴を開けたり、金属に凹凸を付けたり、切断したりする加工方法”です。

 切削加工や板金加工を“接触式”とするならば、放電加工は“非接触式”の加工法といえます。ということは、電極と加工物の間には必ず隙間があるわけです。この隙間は「放電ギャップ」と呼ばれ、放電加工における重要な要素になっています。電極と加工物が接触した状態では放電できる空間がなく、電圧をかけても肝心の火花が発生しません。

 放電ギャップの適量範囲はおおむね0.005〜1.0mmで、電圧をかけることでその隙間がエネルギー帯となり、その力で金属を溶かす(加工する)のです。つまり、放電加工とは電熱ヒーターのような電気で加熱して加工する原理ではなく、放電による熱エネルギーで金属を“溶かして加工する”ものなのです。電極には溶解しにくい材質が用いられ、加工物が溶解しやすい金属であればあるほど電極の消耗率が小さくなり、効率的な加工ができるというわけです。

 この加工法の最大のメリットは、通電する材料であれば、その硬さにかかわらず加工できるという点です。デメリットとしては、一般的なゴムや樹脂のような通電しない材料は加工できないこと、そして、加工スピードについては切削加工に劣ることが挙げられます。また、アルマイト処理されたアルミ加工品の場合、アルマイトが絶縁被膜であるために通電できず、そのままでは加工できないという点も覚えておいてください。

 アルミ加工品で、気を付けたいポイントがもう1つあります。それは、放電加工された面に酸化被膜ができ、そのままの状態ではアルマイト被膜の生成が正常になされないという点です。そのため、アルミの加工物を放電加工した後にアルマイト処理を行う際には、酸化皮膜を除去する必要があります。アルミ自体は溶解しやすい金属なので、鉄系の加工物よりもかなり早く加工できますが、その裏にはこうした注意点があることも理解しておきましょう(何だか、アルミって面倒くさいヤツですね)。

 放電加工は用いられる電極のタイプによって、次の3種類が存在します。

  1. 型彫り放電加工
  2. ワイヤ放電加工
  3. 細穴放電加工

 「型彫り放電加工」と「ワイヤ放電加工」については、連載第1回で紹介したモーターケースの試作事例で使用した加工法なので、おおよそご理解いただいているかと思います。3つ目の「細穴放電加工」は、切削加工では対応できない、細くて深い穴を放電加工で行うものです。

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