「TaaS」の出現により、商用車メーカーはトラックを売らなくなる!?:サプライチェーンの新潮流「Logistics 4.0」と新たな事業機会(6)(2/3 ページ)
物流の第4次産業革命ともいえる「Logistics 4.0」の動向解説に加え、製造業などで生み出される新たな事業機会について紹介する本連載。第6回は、物流の主な担い手であるトラック業界を大きく変えるであろうTaaS(Truck as a Service)を取り上げる。
トラックのKBFの変化
自動運転トラックの実用化は、トラックメーカーのビジネスモデルに多大なインパクトをもたらします。第1に、トラックのKBF(Key Buying Factor)が変わるからです。
当たり前ですが、トラックを購入するにあたり、ユーザー企業の多くは価格の安さを重視します。車両本体の価格だけではなく、燃費の良さや維持・修理費の安さも含めたトータルプライスで判断が下されるわけです。もちろん、最大積載量、最高出力、最大トルクといった輸送車両としての性能も1つの基準になります。大型トラックであれば、運転のしやすさや乗り心地の良さなども考慮されるでしょう。たた、現実には、主要メーカー間で価格や性能に大きな差はなく、今までと同じメーカーのトラックを購入することが多かったわけです。
自動運転化すると、価格や性能だけではなく、自動運転のレベルも問われるようになります。運転をどの程度トラックに任せられるのか、その範囲が広ければ広いほど、ドライバーの負担は軽減されます。要は、それだけドライバーを採用しやすくなるわけです。人手不足の昨今、トラックのユーザー企業からすれば、コストをかけるに値する機能性といえるでしょう。
当初は、ドライバーの乗車を前提とした「条件付きでの自動運転」になることを考えると、「運転をしない時間の過ごしやすさ」も比較検討の対象項目になるはずです。運転席での寝心地のよさ、運転以外の仕事のしやすさなどが問われるようになるかもしれません。将来的には、「ドライバーの不要化」が実現することを見据えるに、TMS(Transportation Management System)を始めとする物流管理システムとの接続性、積荷を載せる荷台内部のトレーサビリティーなどもポイントとなる可能性があります。
つまり、トラックメーカーからすれば、今までにはない機能・特性を具備することが求められるわけです。自動運転の実用化を契機に、トラックメーカー間のシェアが大きく変わる可能性もあると見るべきです。
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