なぜMACアドレスとIPアドレスがあるのか? その違いは?:はじめての車載イーサネット(3)(1/4 ページ)
前回は、イーサネットの導入に伴うネットワークトポロジーの変化から始まり、現時点で車載(車の中で)使われつつあるIEEE 100BASE-T1をはじめとしたフィジカルレイヤーを簡単に紹介しました。今回は、このフィジカルレイヤーの上、データリンクレイヤー(イーサネットフレーム)とネットワークレイヤー(IP)について書いていきます。
前回は、イーサネットの導入に伴うネットワークトポロジーの変化から始まり、現時点で車載(自動車の中)で使われつつあるIEEE 100BASE-T1をはじめとしたフィジカルレイヤーを簡単に紹介しました。今回は、このフィジカルレイヤーの上、データリンクレイヤー(イーサネットフレーム)とネットワークレイヤー(IP)について書いていきます。
まずは、イーサネットフレームです。これはOSI(Open System Interconnection)における第2層データリンクレイヤーにおけるPDU(Protocol Data Unit)です。フィジカルレイヤーを通して送られてきたビット列をまとめて、意味付けをしたものです。構造については、後ほど説明します。
MAC(Media Access Control)アドレス
イーサネットに接続するインタフェース(PHY)に割り当てられる固有の48ビット(6バイト(※1))の数値、イーサネットフレームを送り届けるためのアドレス(レイヤー2アドレス)です。それぞれのインタフェースを持つノード(※2)を識別し、宛先等を示すのに使われます。
(※1)ネットワークの世界では8ビットのことをオクテットといいます。現在では1バイト=8ビットが定着していますが、過去においては必ずしもそうではなかったため、厳密に8ビットを示す単位としてオクテットを用いているそうです。
(※2)物理ネットワークノードともいいます。
6バイトのうちの先頭バイトのBit0とBit1は特別な意味を持っています。特にBit1が1(※3)の場合、グローバルMACアドレスという全世界で唯一のもので、インターネットにつながる機器はグローバルMACアドレスが割り当てられています。グローバルMACアドレスの先頭3バイトはOUI(Organizationally Unique Identifier)と呼ばれ、そのMACアドレスを持つ装置を製造しているベンダーを示す識別子になっています(図1参照)。
(※3)Bit1が0の場合はローカルMACアドレスとなりユーザーが自由に設定できることになっていますが、一般的には使われていません。
イーサネットフレームの構造
先に書きました通り、PDUはPCI(Protocol Control Information)とSDU(Service Data Unit)に分けられます。PCI部分はヘッダと呼ばれ、宛先を示すDA(Destination Address)、送信元を示すSA(Source Address)、SDUに相当するペイロードの内容を示すタイプの3つの部分から成っています。DAをALL1にすると、ネットワーク上のノード全てに宛てたフレームとなります。この場合のアドレスを、ブロードキャスト(Broadcast)アドレスと呼びます。イーサネットフレームを受信した各ノードは、DAを見て自分宛のフレームであるかどうかを識別し、DAが自分のMACアドレスまたはブロードキャストアドレスに一致した場合には受信しますが、それ以外の場合には破棄してしまいます。
イーサネットフレームをいろいろな荷物を運ぶためのコンテナに例えると、ヘッダはコンテナの行き先や中身を示すための書式で、コンテナの中身がペイロードです。ここでのポイントは、コンテナの中身(ペイロード)を確認する手間をかけずにコンテナを届けるための仕組みがあるという点です。ヘッダにあるタイプがそのための情報を提供しています。タイプ値が1536(0x0600)以上のもののうち、図2にある3つが今回関連するものです(特に0x0800と0x86DD)。
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