ソフトウェアバグに対する修正案をAIが提案、富士通らが実証実験:製造ITニュース
富士通、三井住友フィナンシャルグループ、日本総合研究所は、AIを活用してソフトウェアの修正案を開発者に自動推奨する技術の実証実験を実施した。潜在バグを開発者が手作業で修正する場合と比べて、修正時間を最大約30%削減できる。
富士通、三井住友フィナンシャルグループ(SMBCグループ)、日本総合研究所(日本総研)は2019年10月24日、AI(人工知能)を活用してソフトウェアの修正案を開発者に自動推奨する技術について、その有効性を確認する実証実験を実施したと発表した。
同技術は、Fujitsu Laboratories of Americaと富士通研究所が開発。まず、さまざまなソフトウェアの開発履歴データからAIが事前にバグの修正パターンを学び、その学習結果を静的解析ツールが検出したソフトウェア中の潜在バグに適用する。そこからAIがバグの修正案を自動生成してソフトウェア開発者へ推奨する。
実証実験は同年8月1日〜9月30日に実施した。同技術を日本総研が開発した三井住友銀行の金融取引システムに適用したところ、潜在バグ全体の50.2%に対して適切な修正案を推奨できた。なお、修正案の妥当性は修正案を全て手作業で確認して判定した。
潜在バグの修正は開発者が個別に対応方法を検討しながら進める必要があるため、多大な時間を要していた。今回の実証実験の結果を基に潜在バグの修正時間を試算した結果、AIが推奨した修正案を活用すれば開発者が修正内容を考えて手作業で対応した場合と比較して、最大約30%の時間を削減できることが分かった。
今後、富士通は同技術を2020年度中に開発支援サービスとして提供することを目指し、潜在バグの抽出数を増やして精度改善を図る。SMBCグループと日本総研はソフトウェア開発の効率化や品質向上のため、同技術の本格導入を検討する方針だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- ソフトウェア技術者のためのバグ百科事典(1)うるう年
ソフトウェア技術者に向けて、バグに関する基礎知識をまとめていく新シリーズ「バグ百科事典」が始まります。記念すべき第1回は、超常連バグである「うるう年バグ」を取り上げます。 - ソフトウェア技術者のためのバグ百科事典(2)まだあるぞ、うるう年バグ
ソフトウェア技術者に向けて、バグに関する基礎知識をまとめていく新シリーズ「バグ百科事典」が始まります。第2回は、前回に続き「うるう年バグ」について解説します。 - バグ検出ドリル(17)「よくある単純なバグ」だからこそ見つけにくい
バグは至るところに、しかも堂々と潜んでおり、自信満々なプログラマーほど、目の前のバグに気付かないものです。「バグ検出ドリル」の第17回の問題は、前回と同じ音楽プレーヤーのプログラムから出題します。「よくある単純なバグ」が潜んでいますが、見つけ出せますか? - バグ検出ドリル(14)タイポグリセミア現象もびっくり、恐るべきは思い込み
バグは至るところに、しかも堂々と潜んでおり、自信満々なプログラマーほど、目の前のバグに気付かないものです。「バグ検出ドリル」の第14回の問題は、前回に続いて「煮詰まったバグ」です。煮詰まっているがゆえに、バグの原因が分からなくなる事態に対処してください! - バグ検出ドリル(20)「三角形判定」のテスト項目を設計できますか【出題編】
バグは至るところに、しかも堂々と潜んでおり、自信満々なプログラマーほど、目の前のバグに気付かないものです。「バグ検出ドリル」の第20回と第21回は、「三角形を判定」するプログラムのテスト項目設計がテーマです。まずは今回の出題編を読んで、じっくり問題に取り組んでみてください。 - 組み込みソフトウェア開発者に贈る「静的解析・動的解析」の必要性
組み込みソフトウェア開発における「静的解析」「動的解析」を、“なんとなく”行っていないでしょうか。開発効率の向上や品質改善に欠かせないこれらを活用するため、まずはその必要性について解説します。