EMO2019に見る「umati」最前線、工作機械110台がつながった「umati@EMO2019」企画:いまさら聞けないumati入門(2)(4/5 ページ)
工作機械の共通インタフェースとして注目を集める「umati」。「umati」とはどういう規格なのか、どう活用すべきかなどについて紹介する本連載だが、第2回はドイツの金属加工展「EMO2019」で紹介された特別企画「umati@EMO2019」について紹介する。
工作機械にumati接続するアプリケーション
また、umati接続というと工作機械側がどうしても注目されてしまうが、今回のEMO2019ではシステム側も多くのアプリケーションを展示していた。
例えばオーストラリアの研削盤メーカーANCAは、自社の研削盤をumati接続していたのはもちろんのこと、自社開発のダッシュボードのumati接続も実現させていた。つまり、主催者が提供するumatiダッシュボードと同じように、ANCAのダッシュボードからEMO会場にあるumatiで接続された110台の工作機械の稼働情報を確認することができていたのである (図10)。これはANCAのシステムに限ったことではなく、先に紹介したGROBやUnited Grindingグループなども自社のダッシュボードから会場内の各社の機械へのumati接続を実現させていた。umatiという規格により稼働状況が容易に見える化できるというまさに実例といえるだろう。
umati連携を進める中国工作機械業界
umati@EMO2019には企業だけでなく各国の工業会も参加している。その中でも最も積極的な姿勢を示していたのがCMTBA(中国工作機械工業会)である(図11)。
CMTBAは中国の国内における工作機械の共通インタフェースとして「NC-Link」というプロトコルを策定して推進しており、本来ならばVDWが推進するumatiとは競合関係になり得る状況であった。
しかし、中国国内にある工作機械をumati規格によって直接中国外部に接続することが政治的な理由で困難であることを懸念したVDWと、グローバルスタンダードから取り残されることを懸念したCMTBAとの思惑が一致し「NC-Linkのプロトコルにumatiインタフェースを整備する」という方向性が定まった(図12)。
このように協調を決断してumatiのアソシエーションパートナーにも既に加入したCMTBAに対して、JMTBA(日本工作機械工業会)はumatiへの対応方針をまだ明確に定めていない。今後のJMTBAの動向は、日本の工作機械メーカーにとって大きな関心事になるだろう。
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