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グーグルの量子超越性を静観する富士通、実用性重視のAI技術で2つの「世界初」人工知能ニュース(1/3 ページ)

富士通研究所は2019年10月25日、川崎市中原区内にある本社で会見を開き、研究開発戦略を説明するとともに新開発のAI技術を2つ発表した。これら2つのAI技術は「実用性」を大きな目的として開発されている。

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 富士通研究所は2019年10月25日、川崎市中原区内にある本社で会見を開き、研究開発戦略を説明するとともに、新開発のAI(人工知能)技術を2つ発表した。

 今回発表したのは、AI運用時の入力データの正解付けを自動化することで、AIの精度の推定とAIモデルの自動修復を可能にする技術「High Durability Learning(ハイ デュラビリティ ラーニング)」と、演算精度を自動的に制御し高速化する技術「Content-Aware Computing(コンテンツ アウェア コンピューティング)」である。両技術とも2020年度内のサービス提供を予定している。

7つの重点領域、「Trust」「Digital」「Global」を追求

富士通研究所の原裕貴氏
富士通研究所の原裕貴氏

 富士通は、2019年6月に新社長に就任した時田隆仁氏が「IT企業からDX(デジタルトランスフォーメーション)企業へ。」という新たな経営方針を打ち出している。テクノロジーをベースとするDX企業を目指す上で、そのテクノロジーを生み出す富士通研究所の果たす役割は大きい。

 この新経営方針のもと富士通研究所では、DXを支えるテクノロジーとして「コンピューティング」「AI」「データ」「クラウド」「5G/ネットワーク」「IoT」「サイバーセキュリティ」の7つを重点領域として研究開発を進めている。同社 社長の原裕貴氏は「その上で、あらゆるトランザクションの信頼を得る『Trust』、世界でトップのテクノロジーを生み出す『Digital』、研究開発組織を広く展開する『Global』を追求していく」と語る。

7つの重点領域
富士通研究所の研究開発の7つの重点領域(クリックで拡大) 出典:富士通研究所
「Trust」「Digital「Global」
「Trust」「Digital「Global」を追求していく(クリックで拡大) 出典:富士通研究所

 会見では、グーグル(Google)が2019年10月23日(米国時間)に、量子コンピュータの「量子超越性」を実証したと発表したばかりということもあり、報道陣からは富士通がどのように捉えているかという質問が挙がった。原氏は「グーグルがノイズ低減を推し進めることで53量子ビットまで動作させたことはすごいことだが、今までの研究の延長線上という認識だ。乱数発生という問題に特化した結果という点でも、量子コンピュータの実用化に向けてはまだ課題が多いことを示している。当社でも、量子コンピュータのハードウェアについて共同研究を行っているが、最も注力しているのは量子コンピュータの使い道を広げる量子計算アルゴリズムの研究だ」と述べている。

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