トヨタ社長も参戦した2019年メディア4耐、ITmedia×MONOistチーム大躍進のワケ:モータースポーツ(3/5 ページ)
ロードスターのワンメーク耐久レース「メディア対抗4時間耐久レース」に、今年も「ITmedia×MONOist」チームが参戦。今回もさまざまなハプニングに見舞われたものの、何とか走り切り、予想以上の成績を収めることができた。
2速ギアの使用を禁止したことで、狙った効果と想定外の事態が
そして2番手である西坂選手にドライバーチェンジ。走行前に筆者は、西坂選手にあるアドバイスを送った。それは、「2速を使用しないで周回を重ねる」ということである。
西坂選手は2017年、2018年とその走りを見ていて、気になる点があった。それは周囲の走りにペースが乱されてしまうこと。もちろん元プロのレーシングドライバーも一緒に走るレースでは、ドライビングスキルの違いに萎縮してしまうのも仕方ない。しかし改善できる部分があったのだ。
それはヘアピンなどで2速にシフトダウンしてしまうと、そこからのシフト操作が3速からの操作と同じ感覚になってしまい、全てが1速低いギアで走ってしまうこと。そこで筆者は西坂選手に2速の使用を禁じて、シフトのタイミングが狂わないようにしたのだ。
その効果はすぐに現れた。想定より速いラップタイムで順調に周回を重ねていく。今回は元プロのレーシングドライバーなど助っ人がいなかったことも奏功し、自分のペースを乱されずに走れたようだ。しかし、そんな快走ぶりがメリットばかりではないのが、耐久レースの難しいところだ。
「マズいですね、このままじゃ」。松本氏が呟いた。
想定よりラップタイムが速かったことによって走行時間内のラップ数が予定よりも増えてしまう。そのため燃費が松本氏が計算より厳しくなってしまったのだ。さらに好調なペースに気をよくした西坂選手が「コーナー前でしっかり空走距離を取る」といった燃費走行を怠ったため、目標とした燃費にも届かず燃料の消費ペースが予想より早まってしまったのだ。
今回もITmediaらしくピットに多数のIT機器を持ち込んだ。いくつものモニターを見比べながらペース配分など指示を飛ばす松本氏。大学時代、学生フォーミュラ参戦で培った経験が、この耐久レースに生かされている(クリックで拡大)
ドライバーが伝えてくる燃費(コクピットに表示される燃費計)はあくまでも1Lの燃料で走れる距離を表示してくるから、時間当たりの距離が増えれば同じ燃費でも、ゴールに辿り着けずにガス欠でリタイヤという事態に陥る可能性もある。
しかもマズいことに、無線でのやりとりに支障が出てきた。マイクの調子が悪いのか位置がズレてしまったのか原因は不明だが、西坂選手の声が聞き取りにくくなってしまったのだ。
「燃費を意識して走ってください」という松本氏の指令も、伝わっているのか分からない。ライブ中継している車載カメラの映像を見ると、ピットの指示に対して手を上げるなど合図を送ってくれることから、どうやらこちらの声は聞こえているようだ。
今回はストリーミング配信用にと用意したGoProが、こういう時に役に立った(しかしアクションカムなのに、周回を重ねると熱暴走でフリーズしてしまう事態が発生した。おいおい、信頼していたのにGoProよ……)。
そろそろ3番手の柿澤選手にドライバー交代というところで、またもハプニング発生。何と公式練習までは問題なかった柿澤選手のBluetoothイヤフォンが、突如不調になり応答ができなくなってしまったのだ。そのため西坂選手には予定より多く周回を重ねてもらい、その間に解決を試みる。結局、別のイヤフォンマイクを試してもダメで、元のイヤフォンマイクを接続し直して解決できた。
その間に西坂選手には2周ほど多く走ってもらったのだが、それが後になって思わぬ苦戦を強いられる原因になるのだった。
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