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機械学習による逆問題への対処法、材料配合や工程条件を最適化せよもう失敗しない!製造業向け機械学習Tips(2)(1/3 ページ)

製造業が機械学習で間違いやすいポイントと、その回避の仕方、データ解釈の方法のコツなどについて、広く知見を共有することを目指す本連載。第2回は、製造業で求められる材料配合や工程条件の予測に必要な、機械学習による逆問題への対処法ついて取り上げる。

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⇒連載「もう失敗しない!製造業向け機械学習Tips」バックナンバー

 製造業で機械学習が用いられる領域の1つに、材料配合や工程条件の予測があります。製鉄、素材、製薬などさまざまな分野で、成分の配分量や工程条件を変数として、生成される材料性能を予測するといった活用方法です。

 しかし、製造業に関わる人達が本当に欲しいのは、生成される材料性能の予測結果(アウトプット)よりも、その予測結果を最大化するために必要な成分や配合、工程などの入力条件(インプット)であることが多いでしょう(図1)。つまり、最良品質のモノを生成するための条件を効率よく調べたいということです。

 そこで今回は、望ましい材料性能を達成するための配合や工程条件を導く逆問題のための機械学習の手法について説明します。

図1
図1 機械学習で通常行われる予測モデリングと、製造業が機械学習でやりたいことは逆であることが多い(クリックで拡大)

モデルのインサイトをもとに要因分析を行う

 例えば、金融業界でローンの貸し倒れ率を予測する場合、インプットする変数は貸付をする相手の条件(年収、職業、年齢、返済実績など)となります。貸し倒れ率を下げたいからといって、インプット条件を変更することはできません。一方で、製造業の場合は、性能を最大化するために材料の配合条件や工程条件などのインプットの条件を変更できるという特性があります(もちろん、現場を知る人にとっては簡単に変更とはいかない事情もあるでしょうが、十分な検証のもとであれば物理的には可能です)。

 望ましいインプットを得るためのアプローチが要因分析です。要因分析は、結果に対してどの変数が影響しているかを読み取り、人間が配合検討や工程条件を考えます。例えば、以下の図2のグラフを見ると、工程条件がある閾(しきい)値を超えた場合に故障率が上がることが一目瞭然です。この結果から、工程条件を故障率が上がらない範囲内で制御すればよいことが分かります。

図2
図2 一定の閾(しきい)値を超えると故障率が上がる(クリックで拡大)

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