日産「プロパイロット2.0」、ルネサスのSoCと車載制御マイコンを採用:車載半導体
ルネサス エレクトロニクスは2019年8月7日、日産自動車が同年9月に発売する「スカイライン」の先進運転支援システム「プロパイロット2.0」に車載用SoC(System on Chip)「R-Car」と車載制御用マイコン「RH850」が採用されたと発表した。走行判断と制御を行うECU(電子制御ユニット)の中核となる機能で使用される。
ルネサス エレクトロニクスは2019年8月7日、日産自動車が同年9月に発売する「スカイライン」の先進運転支援システム「プロパイロット2.0」に車載用SoC(System on Chip)「R-Car」と車載制御用マイコン「RH850」が採用されたと発表した。走行判断と制御を行うECU(電子制御ユニット)の中核となる機能で使用される。
プロパイロット2.0は、高速道路用の運転支援システムで、ドライバーはシステム作動中も前方を常に監視する必要がある。これまではステアリングから手を離すことは許容されていなかったが、プロパイロット2.0はハンズオフが可能になった他、遅いクルマの追い越しなどで車線変更するかどうかをシステムからドライバーに提案できるようになった。高精度地図のデータを車両に搭載することによって、ハンズオフや車線変更支援が実現した。
プロパイロット2.0が動作するとき、R-Carはカメラやレーダーで捉えた周辺車両の情報を高精度地図のデータに合成し、周辺の環境マップを生成する。次に、地図データと車線の情報によって自車位置を定め、車両の行動計画をR-Carが判断する。行動計画の情報はRH850が受け取り、ステアリングやアクセル、ブレーキのECUに制御指令を送る。R-CarとRH850が運転の判断と制御を行うことで、プロパイロット2.0の実現に貢献したとしている。
日産自動車 電子技術・システム技術開発本部 理事の吉澤隆氏は、「プロパイロット2.0には、従来の何倍ものセンサー情報をリアルタイムに処理して性能と信頼性を確保する技術革新が必要だった。ルネサス エレクトロニクスをはじめとするパートナーとの長年にわたる協力関係の成果として、世界に先駆けて製品化できたことをうれしく思う」とコメントを発表した。
ルネサス エレクトロニクスのR-CarとRH850は、トヨタ自動車が2020年の実用化を目指す高速道路向けの自動運転システムでも採用される。このシステムは入口ランプウェイから出口ランプウェイまでの自動運転を可能にする。自動車専用道路入り口で、ドライバーがスイッチを操作すると自動運転に切り替えられる。高精度地図を基に自車位置を測位するとともに、複数のセンサーで障害物や周辺の車両を認識。目的地に応じたルート選択や走行車線の選択を行う他、分岐や合流の走行、出口に向けた車線変更も安全かつスムーズに実現するとしている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 高精度地図に「年間1万6000円」、日産プロパイロット2.0の市販は2019年9月
日産自動車は2019年7月16日、横浜市の本社で記者会見を開き、「スカイライン」の新モデルを発表した。2019年9月に発売する。車両のエンブレムは、これまでのインフィニティブランドのバッチから日産ブランドに戻した。 - 日産プロパイロット2.0、ステアリング手放しの実現には高精度地図が不可欠だった
日産自動車は2019年5月16日、横浜市の本社で会見を開き、運転支援システムの第2世代「プロパイロット 2.0」の概要を発表した。2019年秋に日本で発売する「スカイライン」を筆頭に、海外市場や他のモデルでもプロパイロット 2.0を展開する。 - 「世界初」で「世界最高性能」、ルネサスが28nm車載マイコンをサンプル出荷
ルネサス エレクトロニクスは、28nmプロセスを採用したフラッシュメモリ内蔵車載マイコン「RH850/E2xシリーズ」のサンプル出荷を開始した。28nmプロセス採用のフラッシュメモリ内蔵マイコンのサンプル出荷は「世界初」(ルネサス)、フラッシュメモリ内蔵車載マイコンの処理性能としても「世界最高」(同社)だという。 - トヨタが2020年に実用化する高速道路自動運転、ルネサスのマイコンとSoCを採用
ルネサス エレクトロニクスは、トヨタ自動車が2020年の実用化を目指す高速道路向け自動運転システムに、車載コンピューティングプラットフォームのSoC(System on Chip)「R-Car H3」と車両制御用マイコン「RH850」が採用されると発表した。デンソーが開発するECU向けに供給する。 - 制御モデルと実装後の差をなくす、最適な並列処理をマルチコアに自動割り当て
ルネサス エレクトロニクスの車載用マルチコアマイコン向けのモデルベース開発環境が、新たに複数の制御周期(マルチレート)によるシステムの開発に対応した。シャシー系やブレーキをはじめ、エンジン、駆動用モーターなどを対象に、制御モデルを構築した段階でマルチコアマイコンへの実装の仕方や、ECUとしての処理性能などを検証できるようになる。 - 仮想化しても車両制御向けのリアルタイム性を確保、ハードウェアで処理時間短縮
ルネサス エレクトロニクスは2019年2月19日、28nmプロセスを採用した次世代車載制御用マイコンに仮想化支援機構を搭載したテストチップを開発し、最大600MHzでの動作を確認したと発表した。自動車メーカーがECU(電子制御ユニット)の機能統合を進めており、1つのマイコンにより多くの機能を搭載することが求められている。テストチップには、これに対応するための技術を搭載した。