「B737MAX」の墜落事故を繰り返さない、イベント駆動型アーキテクチャが鍵に:製造業IoT(1/2 ページ)
「Interop Tokyo 2019」の基調講演に、米国VANTIQ CEOのマーティ・スプリンゼン氏が登壇。「リアルタイムが成功の鍵、デジタルトランスフォーメーション〜SQL型DBを作った男が語る、EDAとは〜」と題して、同社の取り組みや導入事例を紹介した。
「Interop Tokyo 2019」(6月12〜14日、幕張メッセ)の基調講演に、米国VANTIQ CEOのマーティ・スプリンゼン(Marty Sprinzen)氏が登壇。「リアルタイムが成功の鍵、デジタルトランスフォーメーション〜SQL型DBを作った男が語る、EDAとは〜」と題して、同社の取り組みと導入事例を紹介した。
EDA:イベント駆動型アーキテクチャとは
DX(デジタルトランスフォーメーション)を実現するためには、IoT(モノのインターネット)センサー、AI(人工知能)/機械学習、マシン、人、既存のITシステムなどをつなぎ、データをリアルタイムに分析し対応することが求められる。また、エッジで分散処理し、人と協調することも必要であるが、従来のデータベース中心のシステムでこういったアプリケーションを開発、運用することは非常に困難だった。
SQL型データベースシステムの開発者としてしられるスプリンゼン氏が2015年に創業したのがVANTIQだ。VANTIQは、IoTなどによって発生し続けるデータの中から、アクション側にとって重要なイベントだけを見つけ出して伝えられることを特徴とするEDA(Event Driven Architecture:イベント駆動型アーキテクチャ)に対応する開発・運用プラットフォームの名称としても知られている。2019年7月には、VANTIQとソフトバンクとの間で出資を含めた戦略的提携を締結したことでも話題になった。
スプリンゼン氏は「今、ソフトウェアのアーキテクチャに大きな変革が訪れている。IoTのセンサー、AI、クラウドなどがどこでも使われるようになっていく環境では、アーキテクチャはまったく違う様相が求められている。しかし、アプリケーションの開発はそれをサポートできるような形になっていない」と強調する。従来型の「プレゼンテーション層」「アプリケーション層」「データ層」の3階層から成るクライアントサーバ型システムに基づくデータベースに合うようにしかできておらず、それでは1秒間に1000程度のイベント数に対応できても、IoTやAIの登場によって1秒間に数千万まで増えるであろうイベント数には応えられないというのだ。
エッジが分析、フィルタリングし、情報を管理するクラウドに送る。クラウドは、それをまとめ上げて他のシステムに流す。そのためにもデータベースは重要になる。だからこそ、イベントにどのような意味があり、どのように変更されたのかを追っていけるようにしなければならない。人間が情報システムの一部を担い、そこで起こした行動が全体に影響するような環境では、従来のデータベースとは異なった、イベント駆動型のアーキテクチャであるEDAが必要となる。調査会社のガードナーによると、2022年までは50%のアプリケーションがEDAに基づいて開発されるとみている。しかし、この現状に対して業界は準備が整っていない。
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