ソラコムが通信料を値下げ、100万回線達成のスケールメリットをユーザーに還元:組み込み開発ニュース
ソラコムは携帯電話回線を用いたIoT向けデータ通信サービス「SORACOM Air for セルラー」のうち「グローバルSIM」の名称を「SORACOM IoT SIM」に変更する。これに合わせて、IoT SIMのデータ通信料金の値下げを実施。国内におけるIoT SIMの通信容量1MB当たりの料金は0.2米ドルだったが、10分の1の0.02米ドルで利用できるようになる。
ソラコムは2019年7月2日、携帯電話回線を用いたIoT(モノのインターネット)向けデータ通信サービス「SORACOM Air for セルラー」のうち、日本国内を含めた世界130以上の国と地域で利用できる「グローバルSIM」の名称を、同月から「SORACOM IoT SIM(以下、IoT SIM)」に変更すると発表した。これに合わせて、IoT SIMのデータ通信料金の値下げを実施する。例えば、国内におけるIoT SIMの通信容量1MB当たりの料金は0.2米ドルだったが、これを10分の1となる0.02米ドルで利用できるようにする。また、欧州を中心とする21カ国でも1MB当たり0.08米ドルから0.02米ドルに値下げする他、総計83カ国で値下げを行う。
同社は2015年9月からNTTドコモのMVNO(仮想移動体通信事業者)としてIoT向けデータ通信サービスを開始。その後、KDDI回線への対応や、グローバルSIMの導入などサービス拡充を続けてきた。特にグローバルSIMは、eSIM(チップ型SIM)での提供やマルチキャリア対応など国内向けサービスにはないメリットがあり、世界全域で事業展開を検討するユーザーから高い評価を得ている。しかし、グローバルSIMを国内で利用する際の通信料金については、NTTドコモ回線をローミングで利用するため割高であることが課題になっていた。例えば、国内でのみ利用できるソラコムの通信サービスの1MB当たり通信料金は0.2円からだが、グローバルSIMでは0.2米ドルであり約100倍になる。
今回の値下げは、IoT SIMの国内で利用できる回線として、NTTドコモに加えてKDDIのネットワークを選択できるようになったことによるものだ。このKDDIネットワークを利用する場合、1MB当たりの通信料金は0.02米ドルとなる。なお、IoT SIMの国内向け通信でKDDIネットワークを利用するための機能追加はLimited Previewとなっており、希望するユーザーはソラコムに問い合わせる必要がある。
IoT SIMは、今回の名称変更によってソラコムのIoT向けデータ通信サービスの標準に位置付けられることになる。そして、これまで国内向けに展開してきたプランは「特定地域向けIoT SIM」という名称に変更される。ただし、値下げになったIoT SIMよりもさらに通信料金が安価(1MB当たり0.2円)であるとともに、LPWA(低消費電力広域)ネットワークの1つであるLTE-Mを利用できるなどのメリットに変わりはない。
ソラコム 社長の玉川憲氏は「当社の携帯電話回線を用いたIoT向けデータ通信サービスの回線数は100万を超えるなど好調に伸びている。この規模の拡大によるスケールメリットをユーザーに還元したいと思い、値下げに踏み切った。“IoTの民主化”を掲げるソラコムとして、導入のハードルを下げるための施策は極めて重要だと考えている」と語る。
遅延時間も大幅に短縮
さらに、今回のサービス改定では、通信による遅延時間(レイテンシ)の短縮を主な目的として、日本国内と米国の西海岸にローカルブレークアウトポイント(LBO)を新設する。これまでIoT SIMの通信はドイツにあるコアネットワークを経由していたため、国内からデータを送受信する場合の遅延時間は約300msになる場合もあったという。LBOを設置することにより、国内のIoT SIMのデータ送受信であれば遅延時間を50ms程度まで抑えられるという。
これらの他、国内で利用できる特定地域向けIoT SIMとして大容量のデータアップロードに対応するプラン「plan-DU」を追加した。ファイルの送受信に対応したサービス「SORACOM Harvest Files」の投入に対応するプランで、画像データなどを扱えるように1カ月当たりの上り通信量が10GBの「DU-10GB」、同50GBの「DU-50GB」を用意した。1カ月当たりの価格は、DU-10GBが1200円、DU-50GBが2900円。双方ともアプリケーション利用料として300円が付加される。
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