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オンリーワンのモンスターネオ一眼、ニコン「P1000」はどうやって生まれたのか小寺信良が見た革新製品の舞台裏(13)(1/4 ページ)

縮小を続けるコンパクトデジタルカメラ市場の中で、先行して衰退を見せているジャンル「ネオ一眼」。このネオ一眼ながら、爆発的な人気を誇るのがニコンの「COOLPIX P1000」だ。広角24mmから望遠端3000mm相当まで、光学ズーム倍率125倍というモンスターカメラはどのようにして生まれたのか。小寺信良氏が話を聞いた。

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⇒連載「小寺信良が見た革新製品の舞台裏」バックナンバー

 デジタルカメラ市場というのは、激動の最中にある。現在のデジタルカメラに直結する元祖は、カシオ計算機の「QV-10」だといわれているが、そのカシオもコンシューマー市場から撤退せざるを得なくなった。コンデジ、すなわちコンパクトデジタルカメラ市場がシュリンクしてしまったからだ。その市場は、スマートフォンに取って変わられたということで間違いないだろう。

 従って各カメラメーカーは、スマートフォンでは実現できないところ、すなわち大型センサーや交換式レンズといったところに資本投下し、生き残りを図っている。2018年後半から、これまでソニーしかやってなかったフルサイズミラーレスに各社とも相次いで参入しているのは、そこが生き残れるところだと見ているからである。

ニコンの「COOLPIX P1000」
ニコンの「COOLPIX P1000」(クリックで拡大) 出典:ニコン

 一方でデジタルカメラには、コンパクトカメラでもなければレンズ交換式でもない、その中間のようなカメラが存在する。「ネオ一眼」とか「ブリッジ」とか呼ばれているジャンルだ。見た目やサイズはレンズ交換式一眼レフカメラ並みだが、レンズが交換できないところはコンパクトカメラ的でもある。レンズとボディの組み合わせが固定されており、サイズ感にも余裕があるので、特殊な性能を持つカメラが作りやすいという特徴がある。

 だがこのジャンルは、コンデジよりも先に衰退を見せた。さすがに全面撤退を表明するメーカーはまだないが、もう何年も新モデルがないというメーカーは少なくない。

 ところがこのジャンルで爆発的な人気を誇るカメラがある。それがニコンの「COOLPIX P1000」だ。人気の秘密は、そのズーム倍率にある。広角24mmから望遠端3000mm相当までを、光学ズームだけで実現して見せた。倍率にして125倍である。

 前代未聞のスペックを誇るカメラは、どのようにして生まれたのか。東京品川にあるニコン本社を取材した。今回お話を伺うのは、ニコン 映像事業部 マーケティング統括部 UX企画部の増田武史氏である。

ニコンの増田武史氏
「P1000」の商品企画を担当したニコン 映像事業部 マーケティング統括部 UX企画部の増田武史氏

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