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いすゞと日野が開発した国産初のハイブリッド連節バス、そのモノづくり力(前編)エコカー技術(2/4 ページ)

いすゞ自動車と日野自動車は2019年5月27日、両社で共同開発した技術を基にした「エルガデュオ」「日野ブルーリボン ハイブリッド 連節バス」の発売を発表した。本稿ではこれに先立ち、同年5月24日に開催された共同開発技術の発表会の内容を紹介する。

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動力、電気、空調のバランスで実現したハイブリッドシステム

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日野自動車 車両企画部 チーフエンジニアの山口誠一氏

 ハイブリッド連節バスの動力は、排気量8866ccのA09Cエンジンとハイブリッドシステムの組み合わせを採用している。A09Cエンジンはシリンダライナーにディンプルライナーを採用し、摩擦を下げることで低燃費化を実現する。ハイブリッドシステムのモーターは永久磁石式で出力は90kW。バッテリーには7.5kWhのニッケル水素電池を採用しており、屋根裏に設置している。また、燃料タンク容量は250リットルで、トランスミッションは7速AMT(自動変速マニュアルトランスミッション)である。排ガス後処理装置には、DPR(Diesel Particulate active Reduction system)と尿素SCR(Selective Catalytic Redution)を採用する。

 パワートレインの開発を担当した、日野自動車 車両企画部 チーフエンジニアの山口誠一氏は「ハイブリッドシステムは基本的にはいすゞ自動車の『ERGA』や日野自動車の『ブルーリボン』と同じハイブリッドシステムを搭載している。連節バスだと単車に比べて車両重量が1.8倍重くなる。それを従来のシステムと同じ動力で駆動させるには、動力性能、電気性能、空調性能などを最適化してバランスを取れる形で制御することが必要になる。このシステムトータルとしてのバランスが非常に難しく、苦労した」と開発の苦労について述べている。

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最後部に搭載されたエンジン部(クリックで拡大)

 AMTを採用した理由について、山口氏は「ハイブリッドシステムの燃費効果を最大化させるために最適なシステムが何かを追求した。そのためには、AT(自動変速トランスミッション)よりもAMTの方が良いと考えた。ATではハイブリッドシステムの効果は限定的になってしまうためだ」と述べている。

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ハイブリッドシステムの動作(クリックで拡大)出典:いすゞ自動車、日野自動車

連節部の基幹部品は海外製を採用

 ハイブリッド連節バスは国産初となるが、機関部品となる連節機やアクスルについては、既に連節バスで実績のある海外製を採用したという。具体的には連節機はヒューブナー(Hubner)、アクスルはZFのものを採用している。その他の部品については基本的には、他のバス製品などと同様のものを採用し、国内メーカー品を数多く採用し、サービス対応を行いやすい体制を構築する。

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車内から見た連結部(クリックで拡大)

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