連載
AUTOSAR Adaptive Platformのメソドロジ:AUTOSARを使いこなす(9)(2/3 ページ)
車載ソフトウェアを扱う上で既に必要不可欠なものとなっているAUTOSAR。このAUTOSARを「使いこなす」にはどうすればいいのだろうか。連載の第9回では、前回取り上げたAUTOSAR Adaptive Platformのアーキテクチャに続いてメソドロジについて説明する。
AP ECU開発のワークフロー(2)ソフトウェア開発とインテグレーション
4.Software Development(図1の赤色の部分)
- このドメインではAdaptive Application(AA)を開発します。AAの開発には基本的にService Interface定義が必要となります。
- Develop Adaptive Application Software
- Application-levelのカテゴリーのAAを開発します。
- このカテゴリーのAAは、Executableの集合です。単一のExecutableは複数のSoftware Componentから構成される場合があります
- Develop Adaptive Platform-level Software
- Platform-levelのカテゴリーのAAを開発します
- このカテゴリーのAAは、AUTOSAR Runtime for Adaptive Applications(ARA)を含むExecutableの集合です。単一のExecutableは標準のService Interfaceを持つ複数のSoftware Componentから構成される場合がありますが、そうではなく、Software Componentの形態をとらずに直接実装される場合もあります
5.Integration and Deployment(図1の水色の部分)
- このドメインでは、特定のMachine上で動作できるようにするためのインテグレーション作業を行います
- Integrate Software
- ソースコードまたはオブジェクト形式のソフトウェアを、特定のMachineに合わせた形のExecutableとして相互にバインドします(バインド:関連付け、ひも付け)。なお、ここではまだ、インストール(実際にどのProcessでどのExecutableを実行するかのバインド)は行いません
- また、データのシリアライズ(serialization)を行うための各種設定や、Service Proxy/Skeletonの実装、Executable Applicationのビルドも行います
- Define and configure a Machine
- ECU Resource Descriptionとしてのハードウェアリソース情報の記述、OSの選択を行います
- その後、Machine State、Function Group Stateおよびタイムアウト時間(timeout)、Machineごとのリソース(resource)の割当、MachineへのProcess割当、OS設定、MachineごとのPlatform Service設定やPlatform Foundation FC設定を行います。これらの情報はMachine manifestと呼ばれる形式で記述されます
- なお、Manifestは、APにおける、記述方式が形式化されたモデルです。APにおいては、各種設定もこれを用いて行います
- Create Execution Manifest
- Executable Applicationのインスタンス化、processごとのスタートアップ(startup)動作の定義、Execution Manifestの定義を行います
- Execution Manifestは、Adaptive Application(AA)単位で作られ、AAを動作させるために必要な設定を自動化するための情報を含みます(例:スケジューリング)
- なお、AP R18-03までは、Execution ManifestはApplication Manifestと呼ばれていました(R18-10で名称変更)。
- Define and Configure Service Instances
- 実際に使われるService Instanceを決定し、Service Instanceごとの設定を行い、MachineやPort Prototypeにマッピングします
- Set up an initial Machine
- 指定されたMachineに指定されたOSをインストールし、その後、Platformモジュール、後述のSoftware Packageの形の追加アプリケーションをインストールします
- なお、TR Adaptive Methodologyのsec. 1.7 Known Limitationsに記載がありますように、Software Package関連の部分については議論が継続しています
- Create Software Packages
- Software Packageは、ソフトウェア全体を書き換えなくとも新たなソフトウェアをアップロードできるようにするための手段です
- ここでは、実際のソフトウェア成果物をバンドルしてSoftware Clusterを作成し、また、そのアップロードやインストールに必要となる情報を記述したSoftware Package Manifestの作成を行います。
- なお、前述の通り、Software Packageに関する部分については議論が継続しています
- Management and provision of Software Packages
- Software Packageを各AP ECUに展開する前段階としてのBack-end Serverに格納しておくことや、実際に各Machineに展開するというアクティビティーとなります。なお、これは実際には自動車メーカー固有となる部分ですので、詳細は定義されません
- なお、前述の通り、Software Packageに関する部分については議論が継続しています
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