安心安全なグラフィックスAPIの仕様策定のため、新ワーキンググループを設立:組み込み開発ニュース
クロノス・グループは、Vulkan GPUアクセラレーション向けにオープンでロイヤリティ不要のAPIの新標準を策定するため、「Vulkan Safety Critical」ワーキンググループを設立する。次世代自動車ディスプレイなどに高い安全性と信頼性を提供する。
クロノス・グループ(Khronos Group)は2019年2月26日、Vulkan GPUアクセラレーション向けにオープンでロイヤリティー不要のAPIの業界標準を新たに策定するため、「Vulkan Safety Critical」ワーキンググループを設立すると発表した。自動車、航空、医療やエネルギー産業における、GPUグラフィックス、コンピュートアクセラレーション、ディスプレイ管理に、高い安全性と信頼性を提供する。
クロノス・グループはこれまでも、OpenGL SCの仕様策定やワーキンググループの活動を通して、セーフティクリティカル環境向けグラフィックスAPI標準化を進めており、航空業界で広く採用されてきた。
Vulkan Safety Criticalワーキンググループでは、さらに次世代自動車などセーフティクリティカルシステムで運用できるGPUグラフィックス、コンピュート、ディスプレイ機能のニーズに対応する。Vulkan APIを基に、先進のグラフィックスおよびコンピュートシステムの仕様策定に取り組む。
新APIには、RTCA DO-178C Level A/EASA ED-12C Level、FACE(Future Airborne Capability Environment)、ISO 26262 ASIL Dといった航空や自動車業界標準との互換性が必要だとしている。
さらに、ビデオストリームのエンコード、デコード、ディスプレイ管理、プラットフォームのウィンドウやディスプレイシステムにおけるグラフィックスとビデオの統合など、一般的なGPU機能の搭載も示唆している。
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