PythonだけでIoTのPoCを組める、「Degu」はWeb系エンジニア向けのIoTセンサー:組み込み開発ニュース(1/2 ページ)
アットマークテクノ、Seeed、コアスタッフの3社は、Python系言語を扱うWeb系エンジニアに向けてIoTセンサー技術をオープンソースで提供するプロジェクト「Degu(デグー)」を共同で発足すると発表した。
アットマークテクノ、Seeed、コアスタッフの3社は2019年3月15日、東京都内で会見を開き、Python系言語を扱うWeb系エンジニアに向けてIoT(モノのインターネット)センサー技術をオープンソースで提供するプロジェクト「Degu(デグー)」を共同で発足すると発表した。Deguプロジェクトに基づく製品は、プロセッサなどを組み込んだ通信モジュールとなる「Deguベースユニット」と、Seeedが提供する基本センサーパックとなる「Groveスターターキット」から構成される「スターターパック」として同年4月10日に発売する予定。想定価格は約1万5000円。「スターターパック発売後1年間で、Deguセンサーの利用台数100万台を見込む」(アットマークテクノ 代表取締役の實吉智裕氏)としている。
Deguプロジェクトに参画する6社とAWSの代表者。左から、太陽誘電 複合デバイス事業本部 回路商品事業部 商品開発部 プロジェクトマネージャーの青木幹雄氏、NXPジャパン 社長の原島弘明氏、Seeed 社長の坪井義浩氏、アットマークテクノ 代表取締役の實吉智裕氏、コアスタッフ 社長の戸澤正紀氏、ノルディック・セミコンダクター 代表取締役の山崎光男氏、アマゾンウェブサービスジャパン パートナーアライアンス統括本部 テクノロジーパートナー本部 本部長の阿部泰久氏。實吉氏が手にしているのが「Deguベースユニット」
Deguプロジェクトは、3社の他、NXPジャパン、太陽誘電、ノルディック・セミコンダクターといったデバイスメーカーも参加して発足する。また、IoTセンサーで取得したデータを容易にクラウドに集積できるように、最も広く利用されているパブリッククラウドとしてAWS(Amazon Web Services)の協力も得ている。
實吉氏は「国内外でIoTへの取り組みが活発だが、PoC(概念実証)止まりになるなど、あまりうまくいってないことが課題になっている。これは、IoTの価値を生み出すデータを収集できていないことに原因があるのではないか。そして、データを収集できていないのは、IoTセンサーに用いられている各種要素技術の選択に知識やノウハウが必要だからであり、組み込み関連の経験の浅いWeb系エンジニアにとってすぐに使えるIoTセンサーの種類も少ないからだ。Deguによって、この問題を解決したい」と強調する。
Deguは、集団行動する、鳴き声でコミュニケーションをとる、賢くて人にもなつくげっ歯類の動物であるデグーが「IoTっぽい」(實吉氏)ところから名付けられた。特徴は「センシング機能」「通信機能」「エッジコンピューティング機能」「セキュリティ機能」の4つがある。
1つ目のセンシング機能は、Seeedが提供する小型センサーモジュール「Grove」に対応していることだ。Groveは既に200種類以上のラインアップをそろえている。2つ目の通信機能では、無線メッシュネットワークとして「Thread」を採用した。Threadは、ZigBeeなどと同じIEEE 802.15.4をベースにIPv6(6LowPAN)を用いる2.4GHz帯の無線通信規格だ。省電力かつ長距離、堅牢性を特徴とした通信を行える。IoT向けのメッシュネットワークという観点では、Bluetoothなどと比べて「正直まだマイナーかもしれない。しかし、Web系エンジニアの使い勝手を考えると、IPを使ってメッシュネットワークを構築できることはメリットが大きい」(同氏)という。なお、Threadの無線モジュールは、技適など各国の電波法関連の認証を取得した状態で太陽誘電が提供する。
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