トヨタ車が月を走る、燃料電池搭載の有人与圧ローバをJAXAと共同開発:宇宙開発(1/2 ページ)
JAXAとトヨタ自動車は、国際宇宙探査ミッションでの協業の可能性を検討していくことで合意。その第1弾として、「FCV(燃料電池車)技術を用いた、月面での有人探査活動に必要なモビリティ『有人与圧ローバ』」について、さらなる検討を協力して加速する。
宇宙航空研究開発機構(JAXA)とトヨタ自動車は2019年3月12日、国際宇宙探査ミッションでの協業の可能性を検討していくことで合意したと発表した。その第1弾として、2018年5月から共同で概念検討を進めてきたプロジェクト「FCV(燃料電池車)技術を用いた、月面での有人探査活動に必要なモビリティ『有人与圧ローバ』」について、さらなる検討を協力して加速する方針。有人与圧ローバは、月面まで輸送できるエネルギー量が限られる中、月面で1万km以上の走行を可能にするという。
JAXAとトヨタ自動車が検討を進めている有人与圧ローバのコンセプト案は、外形寸法が全長6.0×全幅5.2×全高3.8mで、マイクロバス2台分に相当する。居住空間は13m2で、四畳半のワンルーム程度になるという。滞在可能な乗員数は2人で、緊急時は4人まで滞在できる。
トヨタ自動車が開発する次世代燃料電池を搭載しトータルで1万kmの月面探査走行を想定している。水素と酸素を満充てんした状態からの走行距離は1000km。トヨタ自動車の試算によると次世代燃料電池は、同様に開発が進められている次世代リチウムイオン電池と比べて軽量かつ小型でエネルギー密度が高いため、多くのエネルギーを搭載できることを特徴としている。また、発電によって生成される水は、冷却水や飲料水に活用できる。
また、FCV技術に基づく燃料電池や電動化の他に、自動運転、AI(人工知能)、コネクテッドカーを含めた「CASE」に関わる技術も応用していく。
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