TSN対応FA製品が市場投入へ、三菱電機が「CC-Link IE TSN」対応102機種を5月に:FAニュース(2/3 ページ)
三菱電機は2019年3月7日、産業用ネットワークの新規格「CC-Link IE TSN」に対応したFA製品群102機種を発表した。2019年5月から順次製品投入を開始する。
「TSNがネットワークの中心になる」
新製品の開発のポイントとしてスマート工場化に向けた取り組みがある。三菱電機 名古屋製作所 FAシステム統括部長の都築貴之氏は「製造業を取り巻く環境は大きく変化しており、主に工場では、生産性向上、製造品質向上、トータルコスト削減、変種変量生産への対応、の4つの価値が求められている。これらを実現するためにスマート工場化が求められており、FA機器にもそれに対応する機能が必要となっている」と述べている。
これらの価値を実現する製品のポイントして挙げるのが「生産設備の先鋭化」「生産性と品質の向上」「設備と装置運用の効率化」の3つのポイントだ。具体的には「生産設備の先鋭化」としては、多様な装置や機器との接続やITシステムとの連携が求められる。「生産性と品質の向上」に対しては、生産タクトの短縮化と高速大容量データによる高度分析などが求められている。「設備と装置運用の効率化」については、ダウンタイムの短縮と円滑な装置立ち上げなどの機能が必要となる。
都築氏は「これらを実現する三菱電機としての解答の1つが『e-F@ctory』である。そしてその『e-F@ctory』で価値を最大化するのに必要なネットワークが『CC-Link IE TSN』だと考えている」と期待について述べている。
「CC-Link IE TSN」への対応により、「柔軟なシステム構築の実現」「超高速、高精度通信の実現」「簡単エンジニアリング、保守の実現」などの価値が実現できるとしている。
都築氏は「産業用フィールドネットワークの世界では、ここ数年イーサネットベースの規格が定着したが、TSNはその次に定着する新たなネットワーク規格だと見ている。現在のイーサネットベースのものからTSNベースのものに置き換わっていくと考えている」と述べている。
「CC-Link IE TSN」の3つの利点
具体的に「CC-Link IE TSN」の利点とする「柔軟なシステム構築の実現」「超高速、高精度通信の実現」「簡単エンジニアリング、保守の実現」の3つの利点について見てみよう。
「柔軟なシステム構築の実現」を可能とする大きな機能がTSNの持つ「時分割」機能である。同一のネットワーク幹線上で複数のネットワークプロトコルの通信を、通す時間を分割して使うことで、混在させることが可能となる。
従来の産業用ネットワークは配線や機器などがそれぞれ必要で、同一ネットワーク上でそれぞれを混在させることができなかった。そのため複数ネットワークを同期させるなど、一元管理する必要があるときなどには大きな負担となっていた。これを解決することで、ケーブルの敷設コストを大幅に削減できる他、システム検討時間なども削減できるようになるという。
同様に速い周期の通信と遅い周期の通信も混在させることが可能で、それぞれが影響を受けることなく、最適なパフォーマンスを発揮させることが可能だという。従来はネットワーク全体を同じ通信周期で運用する必要があったが、複数の通信周期で運用可能となったことで、1Gbps通信機器と100Mbps通信機器を混在させることができるという。
「超高速、高精度通信の実現」については、最小周期31.25μs(μ秒)の超高速リンクスキャンを実現。従来はトークンパッシング方式だったが、時分割方式を採用したことで従来比16倍の高速処理を実現可能としたという。さらに、TSNの特徴である定時性を生かし、ジッタが±1μs以下で255局をつなぐ高精度同期を可能としており、各接続局が高精度な時刻情報とタイムスタンプを保有。「異常時の分析や予防保全などに効果を発揮する」(都築氏)としている。
「簡単エンジニアリング、保守の実現」に向けては、直感的な操作が可能なエンジニアリングツールや接続機器の構成を自動検出する機能などを用意。スレーブ局にパラメータを自動配信する機能なども用意し、設定変更や立ち上げの容易化を実現する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.