製造IoTでエキスパートの知見を世界拠点に拡張、ホンダ寄居工場の役割:DMS2019(1/2 ページ)
モノづくりの専門展「日本ものづくりワールド 2019」(2019年2月6日〜8日、東京ビッグサイト)の基調講演に「Hondaのもの造り〜進化し続ける寄居工場の新たな取組み〜」をテーマに本田技研工業 専務取締役 生産本部長の山根庸史氏が登壇。寄居工場でのIoT(モノのインターネット)などの高度情報活用による「工場生産の安定化」や「グローバルな品質向上」を目指した取り組みについて紹介した。
モノづくりの専門展「日本ものづくりワールド 2019」(2019年2月6日〜8日、東京ビッグサイト)の基調講演に「Hondaのもの造り〜進化し続ける寄居工場の新たな取組み〜」をテーマに本田技研工業 専務取締役 生産本部長の山根庸史氏が登壇。寄居工場でのIoT(モノのインターネット)などの高度情報活用による「工場生産の安定化」や「グローバルな品質向上」を目指した取り組みについて紹介した。
グローバル生産体制の確立
ホンダは約50年の歴史がある鈴鹿工場や狭山工場での経験を生かし、2013年に寄居工場(埼玉県寄居町)を立ち上げた。寄居工場は稼働を開始して以来、常にモノづくりが進化する工場として成長を続けている。
ホンダの2019年3月期の連結業績予想は、売上収益が15兆8500億円、営業利益は7900億円で、製品別売り上げ構成(2017年度)は四輪事業が70.6%、二輪事業13.3%、金融サービス事業13.8%となっている。仕向地別(外部顧客の所在地別)売り上げ構成比は北米52.5%、日本12.5%、アジア24.5%、欧州4.5%で、グローバルでの生産拠点は完成車工場としては“地産地消”体制を進めている。四輪が25拠点(18カ国)、二輪は20拠点(19カ国)、汎用11拠点(9カ国)を構える。
四輪の全体の生産能力は約550万台となっており、この中で国内での生産能力は70〜80万台である。一方、北米は170〜180万台で、同地域は重要な生産拠点となっている。現地生産体制の整備が進んだことで、海外輸出比率は2007年度が54%を占めたのに対し、2017年度には12.8%に減少している。
一方で、二輪は2000万台の生産能力がある。このうち、国内(熊本製作所)では20数万台を生産しているが、マザー工場としての役割を担っており、クオリティーやデリバリーを支えるため、さまざまな標準化を行う仕組みを作るなど、世界の生産拠点とつながっている。
これらのように、グローバル市場における環境の変化が、生産拠点に大きく影響を与えるようになっている。その中で国内で2013年7月に稼働を開始した寄居工場は「その設置企画段階でさまざまな議論が行われた」(本田技研工業 専務取締役 生産本部長の山根庸史氏)という。
結果的に国内で作る意義などを見据え、以下の6つのコンセプトで取り組むことを決めたという。
- 人の価値の最大化(単純作業、負荷がかかる作業はロボットなどが行い、考えたりアイデアを出したりする仕事を人間が担う)
- ホンダグループの協創力展開強化(全体最適の手法を考え、総合力で勝負する)
- 技術ギャップの挽回と先端技術(各プロセスでの競争力向上。自動車は新機種を立ち上げるたびに、専用金型や冶具に多大な費用をかけているが、これをできるだけ汎用化しコストダウンする)
- 環境コストを競争力に置換
- 高度情報化で生産革新
- 生産部門の役割拡大と広域化
この内、「高度情報化で生産革新」「生産部門の役割拡大と広域化」については、人による単純作業を徹底的に排除するため、自動化を導入することとした。その事例と1つとして、ドア外し作業の自動化(ドアを開け、ボルトを緩め、ドアを運搬する各プロセス)できるシステムを考え出すなど多様な設備を創出しているという。
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