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CASE時代のタイヤに必要なモノづくりとは、ブリヂストンが取り組むスマート工場製造業×IoT キーマンインタビュー(3/4 ページ)

CASEなどで変化する自動車の姿に合わせ、タイヤにも変革の波が訪れている。新たな時代にふさわしい工場の在り方はどういうものになるのか。タイヤ大手のブリヂストンが取り組むスマートファクトリーへの取り組みについて、ブリヂストン 執行役員 タイヤ生産システム開発担当 國武輝男氏に話を聞いた。

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ブリヂストンが取り組む「BIO」「BID」

MONOist 「BIO」「BID」とは具体的にはどういう取り組みになりますか。

國武氏 「BIO」はフィールド情報と設計情報をつなぎ個々の知見を超えるアルゴリズムを生み出すシステム群を示す。「BID」は、BIOによって生み出されたアルゴリズムに基づき、生産システムを自動制御し、ダントツのモノづくり力を引き出す技術群を示している。

 つまり、デジタル上で仮想的に統合シミュレーションを行うような「頭脳」の位置付けを行う情報基盤と、AIなどを駆使してそこで得た知見やフィードバックを確実に実行に移す基盤の2種類を用意し、デジタル技術をさらに高いレベルで活用し価値につなげていく考えである。

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ブリヂストン流のICTであるBIOとBID(クリックで拡大)出典:ブリヂストン

 これを体現した取り組みの象徴となるのがAIやIoTを活用した新たな生産システムの「EXAMATION」となる。EXAMATIONはタイヤの成形工程を完全自動化で実現するシステムである。

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EXAMATIONの全景 出典:ブリヂストン

 タイヤは主にゴムでできているが、ゴムの材料には天然ゴムなども含まれており、物性に大きなバラツキがある。さらにゴムは伸び縮みする他、温度や湿度など周辺環境によってもこれらの伸縮度なども変わる。こうしたバラツキのある素材を使って、精度の高いタイヤを作るというのがタイヤ生産の重要なポイントとなる。タイヤの成形工程ではこれらの物性をうまく生かし、人手ですり合わせなどを行って生産を行っていた。これを、デジタル技術をフル活用することで、自動化したというのがポイントとなる。BIDの領域での独自開発のセンシング技術により得たデータを、BIOの領域でビッグデータ分析やシミュレーションを行い得た知見を基に高精度加工技術で実行するというサイクルを実現した形となる。

photophoto EXAMATIONでは、センサー群によりゴムの位置や形状変化の状況などを正確に把握し成形することが可能だ 出典:ブリヂストン

 具体的な成果もさまざまなものが出ている。例えば、製品不良の発生時には従来は情報量が少なく真の要因を把握するまでに時間がかかる。不良を改善するのに何度もトライ&エラーを行わなくてはいけない状況が生まれていた。しかし、EXAMATION導入後は、データが従来の7倍以上もあるだけでなく、データが可視化されており、データ解析を軸に対応を決められる。画像も同時に記録しているので、これらの解析結果と画像を組み合わせることで、真の要因を把握するまでの時間を大きく低減できた。

 AIなどを活用することで従来は相関があるとは考えていなかった要因に関係性があることなども分かってきており、製造プロセスそのものの知見が深まったという点なども利点としてある。

 結果として、真の要因を根治できることで不良発生率は従来比で半減させることができた他、スタッフの業務時間も、問題解決に追われる日々対応の時間を従来比3分の1に低減でき、業務の標準化や新たなプロセス作成など、有効な時間活用ができるようになった。既に日本の彦根工場と、ハンガリー工場に展開中。他の工場にも今後展開を検討する他、EXAMATIONで得た技術を他にも展開していく予定だ。

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EXAMATIONの枠組み(クリックで拡大)出典:ブリヂストン

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