IoT・ARプラットフォームを強化するPTC、新機能と顧客事例をアピール:製造業IoT(1/2 ページ)
PTCジャパンは2019年2月23日、東京都内で記者会見を開き、IoT(モノのインターネット)プラットフォーム「ThingWorx」とAR(拡張現実)プラットフォーム「Vuforia」の新機能および顧客事例を紹介した。
PTCジャパンは2019年2月23日、東京都内で記者会見を開き、IoT(モノのインターネット)プラットフォーム「ThingWorx」とAR(拡張現実)プラットフォーム「Vuforia」の新機能および顧客事例を紹介した。
ThingWorxは2018年1月末にバージョン8.4をリリースし、大規模時系列データの取り扱い性能を強化するなど、製造業企業のIoT活用を促進するさまざまな機能拡張を施した。また、Vuforiaでは現場の定型作業をARで支援する「Vuforia View」と突発作業を支援する「Vuforia Chalk」をシームレスに連携させる機能を2019年春以降に追加する予定だ。
ThingWorxの機能強化ポイント
ThingWorxはIoT活用の5つのステップである「生データを集める」「データを意味のある形に整える」「整形したデータの加工や新たなデータの入力」「業務システムとデータを結び付ける」「データから得られた知見を使う」を一気通貫に対応するプラットフォーム。
ThingWorxのバージョン8.4ではこの5ステップ全てで機能強化が施されており、PTCジャパンでIoT/Manufacturing事業本部長を務める山田篤伸氏が概要を説明した。
生データを集める機能の強化点
OPCやModbus経由で工場内の装置データを取得できる「KEPServerEX」が「ThingWorx Industrial Connectivity Manufacturing Suite」にリブランドされ、データ保護機能の追加やThingWorx側との接続にネイティブインタフェースが利用可能になるなど連携が強化された。また、ファナック製装置向けドライバを強化し、RDPARAMに対応した。
また、マイクロソフトが提供する「Azure IoT Hub」との連携を強化した。「Azure上で提供されるThingWorxを活用し、工場データをクラウドに出すという動きが日本企業でも出てきた」(山田氏)流れを踏まえ、ThingWorx Industrial Connectivity Manufacturing Suiteから得られたデータをAzure IoT Hub経由でThingWorxに入力できるようにしたことや、Azure SQLをThingWorxのデータベースとして利用可能となった。
大規模な時系列データの取り扱い性能を強化するため、時系列データベースである「InfluxDB」へのデータ格納へ対応した。クエリ処理をThingWorxからInfluxDBにオフロードすることが可能なため、「大規模な時系列データの取り扱い時に、リレーショナルデータベースと比較して約3倍の性能向上を果たした」(山田氏)という。
データを意味のある形に整える機能の強化点
ThingWorxのアプリケーション開発環境である「Composer」が日本語に対応したとともに、ユーザーインタフェースを一新した。「オンプレミスの環境を構築していれば、そのままブラウザからIoTアプリケーションを開発できる完全に新しいインタフェースになった」(山田氏)としている。
整形したデータの加工や新たなデータの入力機能の強化点
ロックウェル・オートメーション(Rockwell Automation)のMES(製造実行システム)「FactoryTalk」との連携をより強化した。ThingWorxでは工場データをThingWorx Industrial Connectivity Manufacturing Suiteによって収集するが、「ThingWorxとFactoryTalkはネイティブにつながるようになり、両者の統合が深まった」(山田氏)とする。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.